第7話

「香夏。」


北斗はわたしの前でピタリと足を止めると、一言わたしを呼んだ。


それからぐいいっと、わたしの腕を引っ張る。





「来い。」


「いたっ。なんでよ?」


「いいから。」





北斗がわたしを連れて行きたがる理由が分かるから、わたしも対して抵抗せずにそのまま引きずられるようにして教室を出る。


なんだか痛い女子の視線と、ほっと胸を撫で下ろしている男子達。


「いいなあ。」と呟きながらわたしに手を振る咲ちゃん。





そしてそして、渋谷くんまでもがじーっとわたし達を見ていて。


ああ、と心が嘆いた。






渋谷くん、違うの。


北斗とはそんなんじゃなくて、ただの幼なじみ。


だからお願いだから、わたし達の関係を勘違いしないで。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る