第3話

*****



「はい、消しゴム。落ちたよ。」


「あ、ありがと!」




赤くなりながら消しゴムを受けとると、渋谷(しぶや)くんの柔らかい黒髪の中の瞳が笑った。


かっこいい、かっこ良すぎる。





ぽーっと見とれていると、「何?」と渋谷くんが可笑しそうに聞いてきた。


「え、いや、何でもないのっ!」


ますます赤くなるわたしに、


「そう、水原(みずはら)って、かわいいよな。」


渋谷くんは更なる爆弾を落としてから、席を立つとどこかに行った。






かわ…かわいい?


今、かわいいって言ったよね!


うん、わかってる。


それが決してモデルさんや女優さんに向けられるカワイイ、じゃなくてペットもしくはゆるキャラなどに向けられるカワイイだってことは。


わかってる。


わかってるけど…





ウレシイ…

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