第2話
手にこべりついた血をズボンにこすり付けながら、俺は歩き出す。
しばらく行くとベンチがあったから、俺はそこにドサリと腰を降ろした。
平日の真っ昼間だというのに、この遊具が豊富な公園には誰もいない。
そりゃそうだろう。
裏で俺らみたいな柄の悪い奴等が喧嘩を始めたら、親は子供を連れて逃げるだろう。
かわいい我が子に、汚れた世の中を見せまい、と。
ベンチにもたれ、ふと仰いだ5月の空は、清々しいくらい真っ青で雄大だった。
…血の味がする。
くそ、口の中を切っちまったみてえだ。
今さらだけど、体のあちこちがじんじんする。
あんなしょうもない奴等だったのに。
ちくしょう、いてぇじゃねえか。
深く吐いた俺の息は、青い空に吸い込まれるように消えて行った。
会いてえ。
ああ、会いてえな。
こんな時はやっぱ、無償にあいつに会いたい。
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