第44話 やっぱり彼女です♡
「じゃあ触るね♡」
顔を赤くして何度か
細くて小さな彼女の手が、俺の手のひらを優しく撫でる。
「こ、ここから……どうしたら良いのかな?」
「だから、手のひらを揉んでくれれば……」
「そ、そうだよね♡ えへへ♡」
きゅっ、きゅっ、きゅっ!
ああ、ノエル
「壮太君の大きいね?」
「えっ、その、普通だよ」
「おっきくて硬い♡」
「手だよね? ハンドマッサージだよね?」
やめてくれぇええ! シエルが盗み聞きしてるかもしれないんだ。誤解されるような言い方はぁああ!
「こ、こうすると良いんだよね♡ こう♡」
最初はマッサージをしていた
指を絡ませてきたのだが。
待て待て待て! それ恋人繋ぎだよね!? 何で俺、
しかも腕まで触ってきたんですけど!
「えへへ♡ 壮太君って、意外と筋肉あるよね♡ このまま押し倒されたら、私……どうなっちゃうんだろ♡」
「ええっ、ええええっ!」
どうなっちゃうんだよ! こっちが聞きたいよ!
「んぁ♡ 体が熱くなっちゃった♡」
「に、
「落ち着いてないのは壮太君だよ」
「そうだったぁああああ!」
マズいマズい! 体中の血管がドクンドクンしているみたいだ。このままじゃマズい!
てか、この子は本当に
いつもは清楚で大人しいのに。今日は滅茶苦茶エロいんですけど!
カタカタカタカタ!
ドアが鳴ってるぞ。これ、シエルが怒ってるんだよな。
このままじゃ、ブチギレたシエルが部屋に飛び込んでくるかもしれない。
って、あれっ? 急に頭がボーっとして。
ぷしゅぅぅぅぅ~!
熱がぶり返したのだろうか? 俺は
「きゃ♡ そそ、壮太君♡ そんな大胆に……えっ! だ、大丈夫? 壮太君!?」
俺は
あっ、シトラス系の良い匂いだ。清楚で……可憐な……
「わぁああああぁん! ごめんなさい! ごめんなさい!」
結果、ベッドに寝かされた俺に、大泣きした蜷川さんが謝っている。
自分のせいで俺の熱がぶり返したと思っているのだ。
「大丈夫だよ。熱は上がってないから」
俺は体温計の表示を彼女に見せた。
実際に熱は上がってないのだ。ちょっと興奮と緊張で頭がグルグルしただけで。
「でも、でも、私のせいで……」
「
「わた、私、壮太君に迷惑ばかりかけちゃった」
「迷惑だなんて思ってないから」
あれっ?
「も、もう私、壮太君に一生を捧げないとだよね♡ 私の人生は壮太君に全部あげないと♡ 私の身も心も人生も……。壮太君♡ 壮太君♡ 壮太君♡ 壮太君♡ 壮太君♡ 壮太君♡ 壮太君♡ 壮太君♡ 壮太君♡ 壮太君♡」
うわぁああ! やっぱり
「ちょ、ちょと、
「な、何かな?」
「大丈夫?」
「大丈夫だよ。変な壮太君」
変なのは
「と、とりあえず深呼吸しよう」
「すーはー、すーはー」
やっぱり素直な
これ、何でもするのだろうか? 犬みたいな感じに?
「お手」
「ワン♡」
本当にしたんですけどぉおおおおおお!
これは、他の
ダメだ! このまま色々やらせたら、もう二度と戻れなくなりそうな予感がする。
「壮太君♡ 壮太君♡」
ああ、
俺はやらないからな。そんなマニアックなプレイは。
「そ、そうだ、そう言えばクラスの雰囲気はどう?」
俺は話題を変えた。このままでは変態まっしぐらだからな。
「クラスの?」
「うん、あれから軽沢は何かしてきてない? まだ心配で」
あのまま軽沢が引き下がってくれれば良いのだけど。また何かしてきたら……。
「うん、大丈夫だよ」
そう言って
「軽沢君、転校するみたいなの」
「えっ! そうなのか!?」
「うん、今日ね、軽沢君のお父さんが学校に来て……」
地元の名士であり政治家でもある軽沢家としては、非常に世間体やメンツを気にしている。
息子が学校で不祥事を起こしたともなれば、次の選挙にも響くということだ。やはり政治家は支持率を気にするからな。
そこで事を穏便に済ませたい父親としては、被害者や学校に申し入れて口外しないで欲しいのだろう。
息子も遠くの学校に転校させ、早くケリを付けたいのかもしれない。
「それでね、軽沢君のお父さんからお金を渡されそうになったんだけど……」
こっそり金の入った封筒をポケットに押し込まれそうになったそうだ。
「お金は受け取らなかったの。そんなの受け取っちゃったら後で怖そうだから」
話している
「そうだったんだ。こめんね、俺もついていたかったのに。肝心な時に風邪ひいちゃって」
「ううん、壮太君は凄く力になってくれたよ。感謝してもし足りないよ」
また
そんな目で見られると照れるのだが。
「そういえば、今日は姫川さんも欠席だったの」
「ギクッ!」
急に
「姫川さんも風邪なのかな? 壮太君、知らない?」
「な、何で俺に聞くの?」
「だって壮太君って、姫川さんと仲良いから」
そう言って口を尖らせる
「し、知らないょほ」
しまったぁああ! 声が裏返ってしまった! 何だよ『ょほ』って!
「ふーん」
「何でそう思ったの?」
「だって、岡谷君が『安曇は姫様や姉姫様と仲が良くて羨ましい』って言ってたから」
岡谷ぁああああああ! 余計なことを言うんじゃねぇええええ!
ノエル
「えっと、それは……幼馴染だからね……」
「仲、良いんだ?」
「まあ、それなりに……」
「ふーん」
怖っ! 何か怖っ! その無言の圧力はやめてくれ!
さっきもハイライト無し目になってたし。
今日は
その
「あっ♡ その、私っ、浮気は許す妻だから♡ だ、大丈夫だよ♡」
「ん????」
今、変な言葉が聞こえたような?
「でも、ほ、本気にならないでね♡ 浮気じゃなく本気になっちゃうと……私……何するか分からない」
「んん????」
やっぱり変な言葉が聞こえたような?
「じゃあ、そろそろお
上着を手にした
「そ、そうだね」
俺も見送りのために立ち上がった。
さっき変な言葉が聞こえた気がするけど、きっと気のせいだ。
玄関まで
なんとかバレずに済んだぞ。
「じゃあ
「ううん、もっとお世話したかったのに、かえって迷惑掛けちゃったみたいでごめんね」
ガチャ!
「ただいまーって、あれ?」
ドアを開けて入ってきたのはダークブロンドの可愛いお
そこに居る全員が固まる。
「えっ、あれっ? は、初めまして。そうちゃんの
ここでノエル
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