第10話
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俺は男に住みかを教えた。
その内会いに行ってやるぜと不気味な笑みを浮かべ、男は仲間を引き連れ何処かへ行った。
俺はその足でゴミゴミとした街を通り抜け、自分の住みかに向かった。
古びた鉄製の門を開けると、中庭でガキ達がギャアギャア叫びながら遊んでいた。
どのガキも、顔も服も薄汚れていて惨めなもんだ。
この施設に入って、もう随分経つ。
いい年になっちまったから、そろそろ出て行かねえと、とは思っていた。
だが、働くのは面倒くせえし。
施設の女達は「いつまでもいていいのよ」なんて、言ってくるし。
だがもう、潮時なのかも知れねえ。
心残りなら、何も無い。
闇の世界ってのに、浸ってやるよ。
何も無いが───一つだけ、気になることはある。
ガキの声のうるさい中庭を通り抜け、建物の裏側へと移動する。
草が鬱蒼と生い茂った人気の無い小道を進み、建物の角を曲がる。
建物の裏側、ただ草が蔓延こり錆びたフェンスがそびえる辛気くせえその場所に。
───やっぱり今日も、アイツはいた。
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