第28話

舌先でグエンの唇を舐めれば、体に潤いが戻るのを感じた。


「もっと欲しいか?」


冷えた視線でヨウを見下しながらグエンは再びペットボトルの水を口に含むと、今度は口伝いにそれをヨウに流し込む。


ヨウは、自分の体にみるみる生命力が戻るのを感じた。


だが、瞳からは涙が溢れて止まらない。


生きるために、大切な何かを失ってしまった。


活力を取り戻す体とは裏腹に、心は渇いていく。





「リュウ……」


ようやくグエンの唇から解放されたヨウは、涙ながらにそう呟いていた。


「誰だ、それ。お前の彼氏か?」


そんなヨウをあざ笑う、悪魔のような男。


「初めてのキスは、彼氏が良かったって? お前は、本当におめでたいガキだな」

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