第6話

「リュウ………」







何を、口にしていいのかわからなかった。


燃え盛る炎の雄たけびと、熱風の渦の中で、小さな二人はただただ見つめ合う。






「ヨウ」






長い間ののち、やっとのことでリュウが口を開いた。






「僕はもう、行かなくちゃいけない」






煤と血にまみれた顔を、リュウがわずかに歪める。


場違いなほどに、澄んだ微笑みだった。








「行くって、どこへ……?」








するとリュウは真っすぐにヨウを見つめたまま、








「猿鬼(イェングェイ)のところへ」








そんなことを、言うのだった。

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