第26話

それから、しばらくの沈黙が俺達を包んだ。


ゴウゴウと新幹線の走る音と、サトシが漫画を読みながらスナック菓子をポリポリとかじっている音だけが聞こえる。






「また、マカオンのライブに行けるかなぁ」


突如、しんみりと坂下さんが呟いた。


ライブでの興奮がよっぽどだったんだろう。だって狂ったみたいに叫んでいたもんな。


だからライブが終わってしまった寂しさが、今更のようにどっと彼女に押し寄せたのかも知れない。






「行けるよ。また、この三人で行こうよ」


坂下さんを励ますようにそう声を掛ければ、坂下さんは顔を赤らめながら、「うん」と小声で答えた。


それから綺麗な目で上目遣いに俺を見るものだから、ドキリとして一瞬息が止まりそうになる。

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