第25話

「そうだね……」


「どうしたの? ぼーっとして。楽しくなかったの?」


「いや、ムチャクチャ感動したんだけどさ。高校生って、大変なんだろうなって思って……」


頭に浮かんでいたのは、あの泣いていたお姉さんの姿だった。






「何急に?杉山くん、どうしちゃったの?」


「いや、別に。俺には関係ないことなんだけど……」


呟きながら、自分に言い聞かせた。


そうだ。あのお姉さんの涙の理由を、俺が考えても仕方がない。


俺があのお姉さんに会うことは、きっとこの先二度とないのだから。

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