第14話

「混雑してるから、少し待っててね」


色白でカモシカみたいに脚の細い、綺麗なお姉さんだった。女優の誰かに似てる。


同級生にはない年上の色気というものにドギマギしながら、あくせく働いているお姉さんを目で追う。


隣のサトシも、なんだか挙動不審だった。


ひょっとしたら、お姉さんを見て俺と同じようなことを感じていたのかも知れない。





……高校生か。俺にはまだ、未知の世界だ。


あんな綺麗なお姉さんなら、当然彼氏がいるだろう。この学校の人だろうか。


あんなことやこんなことも、きっとしてるんだろう。


卑猥なことに想いを馳せていたら、真向かいに座っている坂下さんにギロリと睨まれた。






「杉山くん、目つきが厭らしい」


「え、俺っ!?」


図星な妄想の真っただ中だっただけに、俺は大いに慌てた。


女の子の勘って、ほんと侮れない。

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