第7話

「うん。そうなの。高校の文化祭に来るって聞いてどうしても行きたかったんだけど、周りにマカオン好きな友達がいなくて……」


頬を真っ赤に染めて、恥ずかしそうに答える坂下さん。


「杉山くんと新島くんがマカオンの話してるの、いつもうらやましいなって思ってて……」


「そうなんだ、なら、一緒に行こうよ」


にこっと、サトシが白い歯を見せて笑った。


こんなに爽やかなサトシを見たことは、未だかつて一度もない。


何なんだ、この嘘みたいなやり取りは。






「うん、楽しみにしとくね。詳しいことは、また話合おう」


サトシにそう声を掛けた後、坂下さんはチラリとだけ恥ずかしそうに俺を見た。


そしてすぐに、女子の塊の元へと去って行った。


「マカオン人気は、すごいなあ。今にきっと、伝説のバンドになるよ」


ぐふふとサトシが笑う横で、俺はいつまでも放心状態だった。

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