第7話

「あ、ヒヤマさん!おはようございます。覚えてますか?」


聞こえて来たのは、朝イチで聞くには少々耳障りなハオの妙に澄んだ声だった。


「何をだよ?」


ハオの声がキンキンと耳に響き、鬱陶しさから思わず眉を寄せ低い声でそう答えた。






「今日の夜、京劇を見に行く約束したでしょ?もしかして、忘れてました?」


「……いや」







────忘れてた。


考えてみればあの時、どうして行くことにしたのか。


面倒臭え……。


「覚えてたんならいいんです。俺、なんかウキウキしちゃって。だってヒヤマさんとプライベートで出掛けることなんて無いでしょ?」


……何言ってんだコイツ。

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