第7話

田舎での生活は、時が止まったかのように、とてもゆったりしていた。



お洒落なカフェも、ゲームセンターも、映画館もない。



あるのは、時代に取り残されたかのような英国風のお屋敷と、無機質な表情で働いているお手伝いさん達、それから時の過ぎ行くままに姿形を変える自然だけだった。



朝になれば、在原家の邸の裏山の木々は、真珠のようなきらめく露に濡れる。



昼になれば、太陽の光を豪快に浴びて、蝉しぐれがそこかしこで絶え間なく響き渡る。



夕方になれば、夕日が森の木々を赤く染め上げ、夜になれば、まるで世界から疎外されたかのような静寂が訪れる。






私は邸にいるのに飽きたら裏山に出かけ、辺りを散策するような、自由気ままな生活を送っていた。



毎日のように裏山で散歩している私に、ママは「年寄りみたいね」って呆れた笑いを向けてきた。



だけど、生まれてこの方車の排気ガスにまみれた都会しか知らなかったから、澄んだ空気も、小川の流れる水音も、私には全てが魅力的に思えたんだ。

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