第4話
ママのお姉さんの小夜子さんは、全てを包み込んでくれそうな優しい笑顔が印象的な、スレンダー美人だった。
物腰も柔らかで、所作や言葉の一つ一つに気品がある。
ママも痩せている方だし年の割に綺麗なのは変わりないけど、持っている雰囲気が全く違う。ママは、どちらかというと包み隠さず自分を表に出すタイプだから。小夜子さんのような奥ゆかしさは、どこにも見当たらない。
持って生まれたものなのか、成長する過程で変わったものなのか。
どちらにせよ、そんな風に自分とは全く違うタイプの、抱き合って再会を喜び合えるような姉がいるママを、私は羨ましいと思った。私に、兄弟はいないから。
どうやら小夜子さんがママと疎遠だったのは、お姑さんが小夜子さんの親族の出入りを禁じていたからみたい。
お姑さんは厳しい人で、息子さんが反対を押しきって再婚した一般家庭の出の小夜子さんを歓迎していなかったらしい。だから、当然その親族のことも快く思っていなかった。
結果としてママと小夜子さんは疎遠になってしまったけど、この春にお姑さんが亡くなり、小夜子さんはようやく自由を手に入れたようだ。
大人の世界って、色々複雑で恐ろしい。
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