第9話

―――……



杉山ケンタとは、中1の頃に同じクラスだった。


それ以降は、一度も同じクラスになったことはない。


杉山ケンタは中1の頃から既に、ちょっと浮いたヤツだった。


そのキノコみたいな髪型で入学当初から皆にからかわれていたし、お調子者で誰とでも気さくに話す癖に、不意に一人でブツブツ物思いにふけっていたりするイマイチ読めないキャラだった。


だけど新島くんっていう誰とも喋らなくていつも漫画ばかり読んでる太った男子と、普通に話しているのはクラスで杉山ケンタだけだった。


そんな姿に、なんかちょっといいなって思ってしまった。







女子というのは友達に合わせたり、グループからはみ出さないように常に気を張っていたりと、兎に角神経を使ってばかり。


特にわたしはお兄ちゃんが2人もいるせいか趣味が男っぽくて、洋服のこととかネイルのこととか、女子の輪に入ることに人一倍苦労していた。


そんなわたしの目に、やりたいように生きている杉山ケンタは、すごく魅力的に映ったんだ。









THE MACHAONのファンになったのも、お兄ちゃん達の影響だ。


すぐに夢中になって、東京の高校の文化祭で初ライブがるって聞いて、何がなんでも行きたいって思った。


だけどお兄ちゃん達には自分の高校の文化祭と日付が重なってるから駄目って断られて、もちろん女友達には言い出せないでいた。


マカオンっていったらどちらかというと男臭いイメージの曲が多くて、中学生女子の皆からは共感を得られそうになかったからだ。

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