第10話

杉山ケンタと新島君がいつからか一緒にいるようになって、マカオンの話をしているのにはすぐに気づいた。


必死に熱弁する杉山ケンタと、ぐふぐふ笑ってる新島君。


「何アレ、キモい」って、女子は遠巻きにクスクス笑って二人を見ていた。


グループの輪からはみ出したくなくてわたしも合わせて二人を笑ったりしてたけど、内心は二人の会話に入りたくて仕方なくて。


「マカオンのライブに行こう」というような内容の話し声が二人から聞こえて来た時、ついに我慢出来なくなって二人の元に駆けて行ってしまったんだ。







―――『そうなんだ、なら、一緒に行こうよ』







文化祭のライブに行きたいって言ったら、新島君は意外にもにっこりと紳士的な笑顔を向けてくれた。


なんだ、思ってた人とちょっとちがうじゃんって思って杉山ケンタを見たら、杉山ケンタはびっくりしたような顔をした後で、八重歯を見せてにっこり笑ってくれた。


その瞬間、不覚にも初めて胸が高鳴るのを感じてしまったのだ。

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