第7話

3-1の前を通り過ぎ掛けた時、やたら騒々しいギターの音がピタリと止んだ。


「おーい、坂下さ~ん!」


すぐにでっかい声が響いて、ドタドタと床を踏みこちらへと誰かが掛けて来る音が聞こえる。


「うるせーよ、杉山」


「マジでうるせー」


……女子にまで、言われてる。






小さくため息を吐いて立ち止まり、声の近づいて来る方に顔を向ければ、予想通り満面の笑みを浮かべた杉山ケンタがギター片手に立っていた。


前髪ぱっつん、目が離れてる、口が大きい。


でも全体的なバランスはいいから、髪型変えれば普通にイケメンだと思う。


だから杉山ケンタがその髪型を維持していることを確認する度に、安堵している自分が心の何処かにいる。






「坂下さん、さっきの聴いた!? 何の曲だったかわかる?」


「≪宇宙探検≫って曲でしょ」


「さすが坂下さん、情報早えぇ! あの曲、最高だよね」


「うん、もういい?」


「え…? あ、うん」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る