第11話
頬を染めながらしばらく見とれていると、男はふいに顔を上げてリンファを見た。
綺麗な二重の、灰色の瞳──。
見る人を鋭く射抜くような、独特の眼差し──。
「これ、売ってるの?」
男はリンファの動揺になんて気付く様子もなく、そう聞いてきた。
「え…と、どれですか?」
「この林檎。」
男は一つ林檎を手に取り、微かに笑みを浮かべた。
「あ…売ってます!」
「じゃあ、ちょうだい。」
「は…はい!」
リンファは、慌てて男から林檎を受け取った。
値段を言うと、男はズボンのポケットから小銭を出して、リンファに渡した。
リンファはいそいそと店の奥に行くと、紙袋を用意して林檎を入れた。
そのまま男に渡す寸前でふと思い付き、籠から林檎をあと2つ取ると、紙袋に加えた。
「どうせ余っちゃうので…オマケです。」
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