第9話

冷たい風が、ヒュッと入り口の開き戸から吹き込んだ。


石油ストーブの炎がその風に揺らめき、リンファは身震いしながら立ち上がった。




───どうせ誰も来ないんだから、入り口を閉めてしまおう。




そう思って、身に纏ったカーディガンで体を包むように背を縮込ませ、移動する。


古びた開き戸に手を掛けた時、ふと店の外に人がいるのに気付いた。




───こんな古びた本屋に来るなんて、物好きな人ね。




そう思って、何となくその人に目を向けた。


一体どんな風変わりな人間がいるのかと、興味深かった。






だが───。





リンファは一瞬にして、息を呑んだ。

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