第8話

その日、リンファは店番をしていた。


学校から帰るとすぐに、いつも店番をすることになっている。


リンファに父親はいなかったし、母親はリンファが帰ってくると工場の仕事に出掛けた。





店番といってもこんなちっぽけな古本屋に、早々人なんて来るものじゃない。


おまけにこの街は田舎だから、そもそも住んでいる人だって少ない。


リンファは古典的なレジの置かれたテーブルに頬杖を付き、ため息を吐いた。


古本独特のカビたような匂いが、鼻をかすめる。


別に嫌いな匂いではないが、こうも毎日だとうんざりしていた。

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