第8話
わたしは、はじかれたように狐顔の男を見た。
男は絵を凝視し、口角を上げたまま淡々と語る。
「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか――日々君が抱いている疑問と、そっくり同じことを言っている。そうなんだろ?」
驚きのあまり、何も言い返せない。
「俺は、知ってるよ」
そこで男は、やたらと涼しい笑みをこちらに向けて来た。
ただその目もとは、どこかしら黒く淀んでいる。
「君が知りたいことを、何でも知ってる」
「あなた……何?」
震える声を、どうにか絞り出した。
すると男はにんまりと笑って、突如わたしの傍を離れ出口へと向かう。
そして途中で一度足を止め振り返ると、
「また会おうね、神原アズサちゃん」
そんな言葉を残し、展示室から立ち去った。
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