第7話

「あーあ、腹減ったなあ」


だんまりを決め込んでも、隣にいる男は一向に立ち去る様子がない。


じっくりと一人で見たいのに、本当に鬱陶しい。





ちらりと横目で見れば、あくびをしている男が目に入った。


年は、二十歳前後といったところか。


明るい色の無造作な髪をしていて、背は高く細身だった。


思ったよりも、ずっとかっこいい。


ただ、吊り上った細い瞳は受け付けないかも。





「ねえ」


お腹が空いたんならさっさと何か食べに行けばいいのに、男はまだ話しかけてくる。


「何よ」


私はわざと、威嚇するような低い声で返事をした。


「この絵、好きなの?」


「別に」


「知ってるよ。謎めいた、このタイトルが気になるんだろ?」

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