終末世界でこんにちは
鷲宮 乃乃
終末世界での仕事
トウキョウのオオタタウンにある一軒家で赤い髪の女が作業していた、彼女は鷺宮楓、なんでも鷺屋の社長である、そんな彼女の周りには工具が沢山置いてあり顔も少しだけ黒くなっているが楓は気にする事なく作業を続ける、そして数分後、作業が終わったのか体を伸ばし後ろの扉を開けた。
「すいませーん、依頼されたエアコンの修理終わりましたー」
「ありがとうございます!いやあ、これで凍え死にしなくてすみそうです...では、これは依頼料です」
お金のあった封筒の中を確認するとニヤける顔を我慢しつつ胸ポケットに仕舞った。
「まいどー、また何かあったら依頼の程よろしくお願いします」
近くに掛けてあったコートを着ると工具箱をバイクの横のサイドカーに入れてもう一度頭を下げてその場を去りバイクを走らせ数十分後、自分の会社に無事に戻ってくる事が出来た。
なんでも鷺屋はの2階にあり会社は2階に3階は自宅となっており、1階はシャッターで締まっていてそこを開きバイクを仕舞うと階段を上がっていった。
「ただいま」
「かえでおねえたんおかえり!」
「うわっ!もう〜いきなり飛びついたらだめって言ったでしょ?そんな悪い子の美咲には〜こうだ!」
「ふふっ、あはははは!くすぐったーい!」
帰ってきてはいきなり飛びついてきた美咲は楓の妹であり、今では楓の生きる理由となっている大事な家族だ。
「おかえりなさい先輩、結婚しましょう」
「ただいま凛音、あと結婚はしない」
いきなり指輪を差し出してプロポーズをした、この頭のおかしい女は桜坂凛音、透き通る様な白い髪を靡かせて黙ってれば美人のこの女はなんでも鷺屋の事務を殆どしている、楓に出会ったその日から毎日ずっとプロポーズをしている。
なんでも鷺屋には他にも従業員がいるが今日は来ていないのでそれについては後日話すとしよう。
「美咲ちゃんも義姉が増える方がいいよね?」
「まだ小さい美咲に何聞いてんだオマエ」
それよりコレ、と胸ポケットにしまってあった依頼料を凛音に渡した。
「それ依頼料ね、あとはお願いね」
「確かに...先輩はどちらに?」
「お風呂、色々汚れちゃったし、ついでに美咲も一緒に入るよ」
お風呂と聞いてはしゃぐ美咲を撫でながら浴室へ向かおうとすると凛音が膝から崩れ落ちて止めてきたその手はワキワキしていた。
「ま、待って下さい!」
「なに?」
「私は冷静さをかこうとしています」
「うん、仕事してくんね?」
2人は脱衣所に向かい、念の為鍵をかけるとシャワーをしてお風呂で寛ぐ。
「はあ〜、仕事終わりのお風呂は最高〜」
「いこ〜」
楓の膝の上で座っている美咲と2人でこの時間を楽しんだ。
お風呂から上がると先に美咲の髪をドライヤーで乾かし自分も乾かし終えると職場へと戻ると鼻血を出している凛音が扉の前で正座していた。
「お、おかえりなさい先輩」
「鼻血出てんぞ、美咲にグロいもんみせんなや」
近くに置いてあったティッシュ箱を投げつけ、丸めて鼻に詰めていく。
「で、仕事は終わってるの?」
「はい、こちらに」
タブレットを渡されどこにも不備がない事を確認すると、凛音に返す
「仕事は早いし優秀なんだよねコイツ」
「...!褒めてくれたと言う事は結婚ですか!式はいつにしますか!明日にしましょう!ええ、そうしましょう!!」
「これがなければ、もっといいんだがな」
楓にとっては最早慣れたのでスルーを決め込み、そんな興奮する凛音をよそに楓と美咲は3階の自宅へと戻った。
「美咲、宿題はやった?」
「ううん、いまからやるー!」
「よし、私がメシ作っている間に終わらせられる?」
「うん!」
とてとてと机に向かって美咲が宿題をやり始めると、下の方から凛音の悲鳴が聞こえたがこれも楓にとっては日常茶飯なのでスルーした。
「お風呂の水抜いといて正解だったわ、しかし、なんか最近エスカレートしてねえ?ここら辺で一回シメとくか...いやあいつには逆効果だな...あいつ無敵か?」
どうしたもんか、と思いながらも料理をテキパキと進めていき3人分の料理をテーブルに並べると丁度宿題が終わったのか美咲が隣の部屋から出てきた。
「しゅくだいがおわりました!」
「よくできました、座って待ってて」
「あい!」
着ていたエプロンを掛けると同時に凛音も3階に登ってきており、いつの間にか席に着いていた。
「いただきましょう、先輩のご飯は都市部のより美味しいですから」
「いや流石に都市部のメシの方が美味いだろ...」
「たべていい?」
「ごめんごめん、じゃあ食べよっか」
「「「いただきます」」」
その日の夜は楓特性の肉1、野菜9の割合の肉野菜炒めを3人で食べた。
数時間後、ご飯を食べ終わった美咲はとっくに寝てしまい、楓は上着を着てバルコニーでトウキョウ都市部の象徴であるスカイタワーを見ていながらお酒を嗜んでいる。
「隣いいですか?」
「...ん、美咲が起きるから騒ぐなよ」
先ほどまでの騒がしさとは真逆に静かに楓の隣に座り2人とも無言で缶を当て飲み始めた、その間お互いに会話はなくただただ時間だけが過ぎていく中、凛音がこの無音の時に終わりを告げるかのように口を開いた。
「結婚...」
「しねえよ、オマエも飽きないね」
「先輩が受け入れてくれるまで何度でも言い続けますよ」
「なんでそんなに私と結婚したいの?」
「それは....秘密です♡....冷たっ!?」
イラっときた楓は自然と缶をおでこにくっつけて強制的に黙らせた。
「まあいいや、寝るか」
「...そう...ですね」
部屋に戻ろうとする楓のお尻をそろっと凛音が触った瞬間目の前が暗くなった。
「おやすみー」
リビングで簀巻きにされ吊し上げられ、てるてる坊主状態になっており尚且つ顔面が凹んでいる凛音に一声かけて楓は美咲が先に寝ている寝室へと入り、その場には凛音が1人ぷらーんとしている。
「胸に行くべきでした...無念」
この変態...いや、このドヘンタイはどこまで言ってもぶれないのである。
終末世界でこんにちは 鷲宮 乃乃 @koyomad
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