第3話:宣誓 (2253年 8月11日)
3歳の子供だった俺は7歳になるまでの間、口調を女らしくする練習と自分の体を鍛え上げることに熱中した。こんな小さな体で筋トレをするのは、負荷がすごいかと思いきや自分の体は悲鳴をあげることもなくついてきてくれた。子供の体は無尽蔵の体力があり、いくらでも鍛えたい放題で嬉しい限りだった。
「華月、やっぱり辞めないか?」
「華月がわざわざいかなくても、軍人さんはいっぱいいるのよ?」
と両親に嗜められながらも諦めずに説得を続けた。前世の知識より、印の言葉を覚えていたため結ぶ練習も可能だった。7歳となり、すぐに志願兵となるべく軍の召集本部へと私は向かった。もちろん、道中両親はずっと反対していたが。
「四ノ宮華月ちゃ…さん。あなたは、まだ志願兵になれる最低年齢だけど、なんでその歳で軍に志願しようと思ったのかな?」
明らかに子供扱いされている。それに前にいる面接官も戸惑いの表情だ。もし俺も人事部にいて、7歳の女の子が志願兵としてやってきたら戸惑う気しかしない。
「祖国に仇なす輩をそのままにはしておけないからです!印も結べる私には、軍に進むのみ!そう考えたからであります!!」
「はぁ、そうですか…熱意はわかりましたが、まだもう少し考えてもいいのでは?」
確かに、前線で死の淵を潜るようなことを幼女にはさせたくないと思うのは全員一緒だろう。だがしかし、私は祖国のために働きたいと言う思いは止まらない。
「いえ、もう4年も両親の反対を押し切って決意したことであります!私は倭の国の一兵士として志願いたします!」
「4年間も…わかりました。四ノ宮華月さん、あなたの入隊を許可いたします」
「感謝いたします!」
この体に生まれ変わって、ようやく祖国に貢献できる。私がここまで祖国に貢献したいと思うのは、前世の兄の影響だ。前世の兄はいわゆる特攻部隊だったため、俺が10のときにその命を散らした。私たち家族は悲しみに暮れたが、兄には二階級特進もしたし勲章も死後に得た。だがしかし、家族である私たちはそんなものが欲しいわけではない。こんな思いをする人を減らしたいと思ったし、我々国民を守り続けている軍や祖国に役に立ちたいと思い、私は前世も今世も自ら軍に志願したのだ。
「では、四ノ宮華月さん。軍に入るにあたり、宣誓をお願いいたします」
宣誓か、何だか懐かしいな。前世でも行ったが、その時はこんなに反対もされなかったから何だか変な気持ちだ。
「はい!…私は祖国の一部として命の最後の灯火まで戦い、祖国のためであればその命を散らすこともいとわない軍人になると誓います!!」
「では、四ノ宮さん。あなたは、これより訓練兵となってもらいます。軍での訓練は想像を絶するかもしれませんが、奮闘を祈ります」
敬礼をしてくれた面接官に敬礼を返し、部屋を出る。やっと私の人生がスタートした、そう確信するのだった。
女の子に転生した退役軍人おじさんが軍隊を謳歌する話 蜜りんご @persica220
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