第5話 川部の心構えと用意するもの。
用意するもの。
・履き慣れた靴…… 一番大事である。サイズの合う靴ではない。『履き慣れて』いないといけない。
運動靴なのは大前提だ。川沿いを歩くなら、防水加工が施されているものだと幾分か望ましいが、川沿いによっては、
地面の硬いアスファルトや、国道も歩かないといけないので、水陸両用に越した事はないが、
私は普通の5年以上履き潰している運動靴(川よう)をいつも履いている。
・適した服装…… これも大事である。軽装に越した事はないが、なにぶん川から吹き付ける風を甘く見ないほうがいい。
それと、動きやすい服装であることが絶対条件だ。
ジャージやスウェットなどもあまりおすすめしない。というのも、川によっては、背の高いブッシュの中をかき分けて進まねばならないため、
どちらかといえば『汚れてもいい服装』という表現が正しいのかもしれない。
・つばつきの帽子…… 特に夏場は、西日からの紫外線が体力の消耗を呼ぶ。同様に、気にされる方は長時間外にいるわけなので、日焼け止めを持っておくといいかもしれない。
・スマートフォン…… いうまでもなく大事だ。スイカなりなんだりを入れている方はもちろん、何せ知らない場所を歩くこともあるわけだから、
最低限地図アプリは持っておきたい。
・サイフ…… スマホがあればいい。という方はそれでも構わないが、私は一応財布は常備している。というのも、水分補給はいうまでもなく必要で、
道中自動販売機を見つけたらワンチャンスを活かしたいタイミングもあり、それが小銭しか使えない場面もある可能性もあるからだ。
・ウォークマン……これは、好みである。私は持っていく。
川の音、自然の音を楽しみたい方は荷物を減らす意味でも必要ないかもしれないが、私は音楽があるほうがトリップできるので、持っていく。
用意するものは以上だ。他は持たず、身軽でいることがよしとされる。あとは必要なものは基本的に現地調達だ。
道中、足の豆が潰れるだろう。
思わぬアクシデントで捻挫したり、何処かに切り傷をつけたりするかもしれないが、
そうならないように軽装と動きやすい格好で挑むので、
そうなってしまった場合は現地調達する覚悟が必要だ。
とにかく、身軽でいることが大事である。
数時間も短調に『歩く』ことを繰り返すわけだから、『重い』『痛い』などの雑情報は旅の障害なのである。
それと、大事なのは情報収集だ。
旅の基本である。山ならば登山計画を書く。川の場合は……降川計画など書かなくてもいいが、用意はしたほうがいい。
昨今は、グーグルマップという人類の叡智があるのだから活用すべきである。
どういうルートを通って、何時間くらいかかって、この駅から帰ろう。というなんとなくの計画を立てることである。
それと、いうまでもなく、トイレ問題だ。
都心の川ならまだなんとかなる。隅田川、神田川、多摩川、荒川は、ゆうて公衆トイレもコンビニも近くにあるから困らないが、
川によってはそれさえままならない事態に陥ることもある。
排泄問題は笑い事ではなく、切実な問題である。入れる方は、まだ我慢できる。しかし出す方は、我慢できない。このことを肝に銘じることである。
野郎は、最悪、なんとかなる。(ならないが)
女性の場合はそうもいかないので、川部を志すものは、とにかくワンチャンスを逃さないことだ。
見つけたトイレは寄っておく。それが汚くても、ありがたく使う。なんなら自分が掃除して帰る。
このぐらいの心構えが必要である。
それと、これも私個人の意見なのでなんとも言えないが、なるべく一人で歩くことだ。
相手が誰かいると、相手のペースに合わせないといけない。これでは、癒せるものも癒せないのだ。
貴方は、川に癒されにいく。そのためには、雑情報はなるべく排除することをおすすめする。
一番大事なのは、『まとまった時間』である。
まあ、当たり前のことだろう。
仕事で忙しい。家族がいて忙しい。
あなたには色々な事情があるだろう。
だが、
それを言ったら私にだって仕事も家族もいるのだ。その私が言うのである。まず、時間は作るものだ。
『時間が無い』をいう奴は、『時間の作り方が下手』な奴の事である。
川部においては、『時間がない』は禁句とする。
大谷翔平だろうが、貴方だろうが、24時間は平等だ。
逆に、『川を歩く8時間を算出するために、この数日をどう過ごせばいいか』を逆算する努力が川部においては重要なのかもしれない。
……さて、諸々飲み込めたであろうか。
準備もできたであろうか。
では、貴方を、川沿いワールドに誘うとしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます