第2話 赤星緋音はおっぱいが大きい
「構図といい画力といい素晴らしいエロ漫画だ……これも……あれも……美しい……」
「(何こいつ……ゴキブリみたいにはって私のエロ漫画を読んでるわ……)」
俺はただ赤星緋音のエロ漫画に魅せられていた。
しかし、まるでゴミを見るような目を向けられているのはどうして何だろうか?
「これ赤星さんが書いたんだよね?」
「そうね……私が描いたものよ……それで、そのテストとエロ漫画のことなんだけど……黙っておいてくれないかしら……」
「え? ああ……大丈夫だって。言いふらしたりしないよ」
「本当に言わないでくれるの? 信じていいのよね……?」
「赤星さん。そんなに俺って信用出来ないかな?」
「はっきり言って全く信用出来ないわ。佐藤くんって何かチャラいというか……遊んでそうだし、先生はちゃん付けだし、点数を大声で自慢してたし、私よりいい点数なのが気に入らないし、私のこといつも変な目で見てくる気がするもの。てっきりNTRの竿役みたいに私を脅してくるのかと思ったわ……」
彼女いない歴=年齢の童貞である。
何をどうしたら俺が遊んでそうに見えるんだろうか……
それに点数の下りとかもはやただの私怨だろ……
とはいえ、そんな風に思われていたとは心外だ。
俺はチャラ男でもなければ、人の弱みを握り脅すような屑でもなく、人をチラチラとエロい目で見たりもしていない。
清く正しく誠実な普通の人間である。
「絶対言いふらしたりなんてしないからさ。実際、俺は脅したりなんてしなかっただろ? 信じてみてよ赤星さん」
「そうよね……脅すなら今、私を脅しているわよね。ごめんなさい佐藤くん。あなたのことを信じてみるわ」
赤星緋音は胸に手を当てて安堵の表情を浮かべていた。
しかし、改めてだが、近くで見ると、彼女の胸は本当に大きいな……
一度でいいからこんな大きいおっぱいを揉んでみたいものである。
「でも、やっぱりびっくりだな……赤星さんって勉強は出来るって噂だったからさ」
「その噂なら誰にも点数を見せないようにしていたら、勝手に成績優秀ということにされていただけね……都合が良かったから否定はしなかったけど……」
「あれ? でも、数学のテストは立夏ちゃんにも頑張ったなって褒められてなかった? 返された後も堂々としてたように見えたけどな」
「あれは慰めよ……箸にも棒にもかからないような点数を取り続けると、先生たちは一周回って褒めてくれるようになるわ……それに堂々となんて言われても、私は目の焦点が合わないほどフラフラと歩いていたと思うのだけど……」
そんな優しく悲しい世界なんて知りたくなかった……
まさか赤星緋音が本当に凡人とは違う世界を見ていたとは驚きである……
「いや、気づかなかったな……でも、勉強なんて受験のためにやるようなものだからさ……あんな凄い漫画を書けるなら学力なんてなくても大丈夫だよ赤星さん」
「それが私、お父さんに漫画を描くのを反対されてて、勉強が出来ないなら支援はしないって言われてているの……だから可能性は低いけど、お父さんにママ友経由なんかで広まるかもしれないし、勉強出来ないってのはみんなにバレたくないのよ……」
「なるほどね……そうなると結構な弱みになるのか……──あっ、でも俺は言ったりなんてしなからな!」
「何よその間は!? 絶対変なこと考えたわよね!」
「そそそ、そんなわけないだろ! 赤星さんで変なことなんて考えられないよ!」
「ひ、酷いわ佐藤くん……私がそんなに魅力がないっていうの!?」
「あっ、ごめん赤星さん……正直に言うとちょっとだけ……先っちょだけ考えたかな……」
「先っちょだけって何よ!? ほら、やっぱり私でエロいこと考えてたのね。佐藤くんのバカ! スケベ! 変態! 鬼畜!」
ハメられた!
赤星さんはしたり顔をすると、蔑んだ目で俺を散々に罵倒した。
しかし、どうして美少女の罵倒というのはここまで聞き心地良いものなのだろうか?
仮に木下にでもこんなことを言われたら眼鏡めがけて全力でぶん殴っているところだ。
「赤星さん、それはズルいだろ…… あんなこと言われたら考えてなくても考えたって言うしかないって……」
「ひっ! どうして笑ってるのよ佐藤くん……?」
赤星緋音はおびえた表情を見せた。
蔑んだ表情も良かったが、彼女の弱々しい表情もこれはこれでくるものがある。
「赤星、佐藤まだ残ってたのか?」
背後を向くと立夏ちゃんが俺たちを呼びかけていた。
当然、周囲にはエロ漫画の原稿が散らばっている。
「夏目先生……どうしてここに……このままじゃ原稿が見られちゃうわ……こういうのって没収されたり、反省文を書かされたりするのかしら? そういうの慣れてるわよね? どうなの佐藤くん?」
赤星緋音は俺のことを何だと思っているのだろうか……
いくら俺でもそんなことは慣れていない。
エロ漫画を学校に持ち込んで反省文を書いた回数なんてたったの二回だけである。
「まあ、そうだな……幸いエロ漫画そのものじゃなくて原稿なんだし、見つかってもそういうの描くのが趣味だって言えばいいと思うよ。落書き帳に何を書いたって問題ないだろ?」
「そういう問題かしら……? でも、そうよね……別にエロ漫画そのものではないし、落書き帳を切り取っただけとも考えられ……━━あっ……」
「これは野獣天……?」
参考資料だろうか?
俺の顔に当たったあと机の角にバランス悪く置かれていた赤星緋音の鞄からエロ漫画がバラまかれた。
流石にこれが見つかったら言い訳も出来ないだろう……
「さっきから二人とも何をやってるんだ? 担任が自分のクラスに来るのがそんなにおかしいか……? 戸締まりや置き勉のチェックをしに来ただけだが」
「立夏ちゃん、木下が置き勉してたよ」
「木下が? あの真面目な木下が置き勉なんてするわけないだろ佐藤」
「いいから見てみてよ立夏ちゃん」
「え? 佐藤くん……友達のことチクるなんて最低よ……」
「赤星さん、誤解だよ……エロ漫画を立夏ちゃんに見られたら不味いだろ? そのための時間稼ぎだよ。それに俺は木下が置き勉してるかどうかなんて知らないし……だからチクったとかでは……」
「あ、そういうことね……ごめんなさい。てっきり……」
「おい、佐藤。木下の机を見たが空だったぞ」
「そういえば木下、今日だけ持って帰ってたかもしれないな……あ、そうだ。楓も置き勉してたよ立夏ちゃん」
「海江田がか? あ、本当に置き勉してるな。それもこれたぶん全教科置いてあるぞ……入れすぎで机盛り上がってるな……」
「佐藤くん……?」
赤星緋音は俺に微妙な目線を向けていた。
これは俺が悪いのだろうか……?
「違うんだよ赤星さん……まさか楓が本当にしてるとは思ってなくて……とにかくこの隙に原稿とエロ漫画を片づけよう」
「そうね……そうしましょう。佐藤くん、原稿は折らないように気をつけなさいよ。折ったら弁償してもらうわ。━━その……ありがとう……」
「どういたしまして赤星さん」
「━━海江田の机は見なかったことにするか……そもそも置き勉チェックなんて本当はやったことないからな。見つけても仕事増えるだけだし」
もう少しで片づけられそうというところで立夏ちゃんはそう言ってこちらを振り向いた。
置き勉チェックって言ってみたかっただけだったのかよこの教師……
「こうなったらエロ漫画だけでも……」
「夏目先生がこっちに……私どうすればいいのよ……」
「落ち着いて赤星さん。そこの取るから避けて……」
「きゃあ! ━━え? 佐藤くん……?」
原稿の回収を諦めてエロ漫画の回収に切り替えた俺は四足歩行で俊敏に動くも、戸惑っていた赤星緋音は俺を避けられず、結果的に俺は彼女を押し倒していた。
「あ、赤星さん……」
「痛っ……よくもやってくれたわね! というかどこ触ってるのよ!?」
「ごめん、赤星さん……その不可抗力というか……」
俺の右手が赤星緋音の大きな胸に触れていた。
柔らかく大きくハリのある素晴らしいおっぱいであった。
初任給で奢るなら母さんは焼肉と鰻重、どっちの方が喜ぶだろうか?
母さん、俺をこの世界に産んでくれてありがとう……!
「突進してきたくせにどこが不可抗力よ! 佐藤くんのバカ! 変態!」
「ぶへ!」
赤星緋音は顔を真っ赤にして俺を睨みつけると、全身全霊で右手に意識を集中していた俺の頬を思いっきりビンタした。
衝撃で天井近くまで飛ばされた俺は立夏ちゃんの足元へと転がり込んでいた。
「立夏ちゃん……これはその……」
「夏目先生にまで……佐藤くんって本当に屑ね……」
「私のスカートのパンツを覗こうといい度胸だな佐藤。ん? 何だこれ? エロ本とメモ帳か……?」
立夏ちゃんは俺に冷ややかな笑みを見せるとエロ漫画に気づき手に取った。
屑と言われてもビンタしてそこまでぶっ飛ばしたのは誰だと思ってるんだろうか……
しかし、黒レースのパンツを見せてくれたことは本当に感謝している。
「それ、俺のなんだよね、立夏ちゃん……見逃してくれない……?」
「私は教師だぞ佐藤。教師というのは生徒が正しい道を進んでいく手助けをする仕事だ。だからスカートの中を覗き込み、しかもこんなものを持ってきたやつを見逃すことなんて出来ないぞ。これは没収だ」
立夏ちゃんはまるで教師のようにそう呟いた。
さっき楓の置き勉を面倒くさいという理由で見逃した人間とは思えない。
「え……? 違います夏目先生……それは私の……」
「どうした赤星?」
「赤星さん、あとは俺に任せて」
「佐藤くん……やっぱり何でもないです、夏目先生……」
「そうか。散らばってるプリントを片づけたら二人ともついてこい。他の先生や生徒にでも見られたら面倒だからな。あっ、言い忘れたが佐藤。もちろん反省文はあるからな。今のうちに内容を考えておくんだぞ」
立夏ちゃんは何か見透かしたような目で満面の笑みを見せ、そう口にした。
しかし、さっきまで手にはおっぱい、目にはパンツがあったというのに、反省文とはどうしてこうなった……
そうだ……元をたどれば、全て木下のせいだ。
次はしっかりと勉強してあいつに感謝と怨みの学年一位を見せつけてやろう。
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