破壊神様の魔法で消えた店は、星3つ超え?お疲れさん
冒険者たちのぽかぽか酒場
第1話 オツカレ山は、今日もお疲れさんだったようです。ごきげんの良くなった、破壊神様?オツカレ山リバウンドは、やめて…
破壊神様の使う魔法は、魔王様のもののようにいやらしい。
「悪霊たちよ、我に力を与えんことを!破壊の力を、与えんことを!」
他は、こんな感じ。
「お前なんか、大きらい!破壊する~」
まるで、子どものケンカ魔法。
子どもといえば、破壊神様には子どもっぽいところがある。
「俺は、他人とはちがうものがほしいのだ」
破壊神様は、他のだれかが持っている物と同じ物を持つのがいや。
だからか、部下の 1人が他人とはちがうニュースをもってきた。
「破壊神様に、申し上げます!オツカレ山の山頂に、だれも知らない味を出す店があるとのこと!」
おお…。
初耳の情報。
ちなみに~。
「オツカレ山」は、「おつかれさん」と読む。
この報告に、他人とはちがうものがほしくてたまらない破壊神様は黙っていない。
「我を案内せよ!」
ほら、乗り気。
「でも…」
破壊神様に山頂の店の報告をした部下が、心配になる。
単に美味い店がありますっていうことだけで、良いのか?
それだけのことで、他人とはちがうものを目指すお方が納得するだろうか?
「どうしよう…」
星 3つとかそれ以上の口コミ店を探したいのなら、グルメ雑誌やネットを見れば充分。
が、心配はいらず。
「いや~。食った、食った!」
山頂に向かった破壊神様が、ニコニコ顔で下山してきた。
「お帰りなさいませ、破壊神様!」
「他人と、ちがうもの~!」
「オツカレ山の山頂にある美味しい店は、見つかりましたか?」
「ああ」
「食事は、いかがでした?」
「破壊的に、美味しかったぞ!」
「良かったですね」
「良くなどない!」
「…は?」
「食事が、めちゃくちゃになった」
聞かされた部下は、あせり顔。
「…あ、やっちゃった?」
その通り。
破壊神様は、ついつい、いつものこの魔法を唱えてしまったのだ。
「悪霊たちよ、我に力を与えんことを!破壊の力を、与えんことを!」
食事の美味しさに、破壊的に感動したから?
やっちゃいましたね~。
破壊神様の力で、店が破壊。
「つい、いつもの習慣が…」
「でも、破壊神様?」
「ん?」
「他人とはちがうことができて、良かったのでは?」
「何?」
「フフッ…まさに、おつかれさんということで」
「何だと、部下のクセに!」
また、あたりが破壊されましたとさ♪
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