小さな街トルフェン

最初にイリスがやって来た街は森に一番近い小さな街トルフェンでした。

「やぁ、嬢ちゃん、メロンはいらないかい?」

町に着くといきなり声を掛けられました。

「いらないわ。メロンなら家に沢山有るもの。」

「そうかい?じゃあレモンティーはどうだい?

冷たくて美味しいよ。」

「いらないわ。レモンティーならついさっき飲んだばかりよ。」

イリスはお姫様なので、大抵のものは口にしたことが有りました。

「そうだわ、おじさん、これについて知らないかしら?」

イリスは鍵を行商人のおじさんに見せました。

「見事な細工の鍵だね!うーん…悪いけど、分からないなぁ。」

「そう。そんな簡単には見つからないわよね。」

イリスはがっかりしましたが、ここで諦める訳にはいきません。

「そうだ!カラスに聞いてみるというのはどうだろう?彼らは光り物が好きだからね。」

成る程、それはいいアイデアだと思いました。

「ありがとう、おじさん!」

イリスはカラスを探しに行く事にしました。

「カラスって何処に居るのかしら?」

「多分、山の麓にあるカラスの巣に行けばいいと思うよ。でも、ちょっと待った。その格好で山へ向かうつもりかい?」

イリスが着ていたのは上等な黒のドレスでした。

「山に行く前に洋服屋に行って着替えた方がいいよ。洋服屋はこの町の奥に有るよ。」

おじさんの言葉に従い、次は洋服屋へと向かう事にしました。

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