自作自編 〜親友ポジに転生した俺の行動次第で結末が変わる〜
あくはに@ 『孫ダン』執筆中
第1話 転生
「よし!これで完結だ!」
エンターキーをタッーン!と叩いて最終話を更新する。
それにしても、『冴えない僕に青春なんて程遠い』を書き始めて4年が経ち、無事完結を迎えられたのは、実に嬉しいことだ。
軽く、この作品の説明をしよう。
主人公は、自己肯定感の低さと優しさから、困っている人を自分の身を削ってまで助けてしまう鈍感系主人公だ。
そして、メタいことを言うがラブコメ主人公補正ということで美少女達が抱える問題によく巻き込まれ、最終的に解決するのだ。
まぁ、その後は大体お察しの通りだ。
そんな感じの作品であり、書籍化もした。中々の人気を博した作品であると自負している。
改めて、ブラウザをリロードすると早速、応援コメントが付けられている。
それを、読むと改めて終わったのだなぁと実感させられる。
この作品に登場してくるキャラクター達のことは例外なく愛しており、かなり丁寧に作り込んだ。
1人を除いて......
だが、それのお陰で上手く話を広げ、今日こうして畳むことが出来たのだと思う。
「少し、体を動かしに行くか」
椅子から立ち上がり、荷物を持って近くにある稽古場に向かう。
俺の家の近くには、全国的にもかなり有名な総合武術の道場があり、父さんが、そこの師範と仲が良かったのもあって物心付く前より、そこを遊び場としていた。
そのため、20歳とまだまだ若造だが道場内では中堅の中でも上位の実力があり、同年代の中では敵無しの状態になっている。
「ん?」
少し、心臓の辺りが疼き違和感が生じたが直ぐに消え去った......と、思ったが一拍置いて、強烈な痛みが心臓を襲う。
その痛みに立っていられず、膝を着いてしまう。
これは洒落にならんな......
どれだけの時間、しゃがみこんでいたのだろうか、急に全身が軽くなり痛みが嘘のように無くなる。
ゆっくりと立ち上がろうとした瞬間、力が全く入らず前のめりに倒れる。アスファルトの道路に強かに顔面をぶつけるが痛みは全くやってこない。
むしろ、心地よくも強烈な眠気に似た何かが襲ってくる。
本能で理解した。
コレに身を委ねてはダメだと、頭の中で警鐘が鳴り響く。しかし、つかの間の抵抗も虚しく視界がブラックアウトした。
だが、それは刹那の時間だった。
時間にすれば、瞬きと余り変わらないほどだろう。
しかし、その束の間に起こったことは想像を絶するものだった。
「ここは......どこだ......?」
先程まで、稽古場に行くため、普通の道を歩いていたはずだ。
しかし、今の俺は見覚えのない家の中にいる。それに、視界が狭まり、視点がかなり低くなっている。
「ァガッ!?」
突然、頭に強烈な鈍痛が走り、頭の中に無理やり情報が叩き込まれる。
俺の異常な様子に誰かが駆け寄ってくるのを感じたが、俺には、それが誰なのかを認識する余裕なんて無かった。
そして、意識が暗転する。
******
気付いたら、目が覚めていた。徐々に意識がハッキリとしてきた。
そして、まず最初に知らない天井が視界に飛び込んで来て、次にアルコール消毒液の独特な鼻を刺す匂いがした。
「それにしても......転生とは......」
意識を失っている間に、この体の記憶を追体験していた。
そして、分かったことがある。
俺は、あの心臓の痛みで多分死んだ。そして、俺の作品である『冴えない僕に青春なんて程遠い』の登場人物、主人公の親友ポジの「
現在、俺は6歳で2ヶ月後に小学校に入学するらしい。この時の、折谷 識は主人公には出会っていない。
識と主人公が出会うのは中学の時だ。そして、シナリオが始まるのは高校からだ。
「俺は、一体どうするのが正解なんだ?」
この際、転生したことは業腹だが受け入れようじゃないか。
それに、俺としては転生先が折谷 識で良かったと思っている。
そう思う理由なんだが、折谷 識の喋り方や性格は限りなく俺に寄せている。
まさか、キャラ作りを横着したことに助けられるとはな......
加えて、シナリオ通りに事を運ぶとしても、執筆者である俺なら、何が起こるのか全て知っているから問題なく立ち回れる。
......だが、俺は自分が生み出したキャラ達をこの作品を愛している。だからこそ、実際に出会い言葉を交わして尚、淡々とシナリオ通りことが運べるのかだけが心配だ。
取り敢えず、主人公と出会うまでに、この世界のことを知ろう。
方向性を決めるのは、それからでも遅くないはずだ。
......そうだよな?そうだと言ってくれ......!
こういうのって、テンプレだと結局、シナリオ通りに進められないからかなり不安だぞ......
自作自編 〜親友ポジに転生した俺の行動次第で結末が変わる〜 あくはに@ 『孫ダン』執筆中 @Akhn496
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