第22話 強い者が正しい?……④
「本当にそう思うか??
――――――――――
― ドクン…… ―
硬く……冷たい木の感触に跳ね返る
(何故だ……どんなにリアルでも……コレはゲームだぞ?! どうして? ……なぜ
……これでも、物心がついてからずっと善良な人間として生きて来た。だが善良な人間が、善良な人生からドロップアウトするには、たった一つ曲がり角を間違うだけで十分であり……人生はいつも
そして……曲がり角を曲がった先にあった暗い陰の中は……意外な事に私と同じ様な人間が
これは善良な人間には想像し辛い事だろうが……
そこに居た大半の人間は、僅かな
――――――――――
最初の私は……すぐにでも
だが……その時の私はまだ知らなかったんだ……
陽が登り切ってから目覚め、僅かな小銭を稼ぐ為にどんな汚い事も厭わず、周りの善良だが弱い者を小馬鹿にしながら酒を浴びて眠る生活……
そこに浸りきり……
あと僅かで
そんな時だった。
『やあ……ここは空いてるかい?』
……人は明るい所にいると、闇の中に化け物が見える。
だが、今の私は知っている。本当は明るい場所から見る闇など……薄暗い
――――――――――
結局……私はそいつが用意した
命を賭けない命のやり取りを繰り返し、“効率的な攻略法”を謳うギルドを作った。大した疑問も持たずに加入したメンバーを動かし、
邪魔なプレイヤーは汚い手段でゲームから締め出し、強いプレイヤーには甘い汁を用意して取り込んだ。
「馬鹿な!……馬鹿な!!……バカな!!!」
その私が……強さを求め続けた私が……ここまで……ここまで
(認められるか!!)
私は……動かないアバターに力を込めて
― ズッ…… ―
肩に掛かるプレッシャーが増す。
なんだコレは??
「ふーん……俺はアンタ達が変に絡んで来なければそれでいいんだが……それがアンタの
男の口調は平坦で……脅す様なニュアンスも無い。なのに……
(
私の
(無理……だ。たとえ野生のライオンの前に丸腰で立っても……
「分かっ……た……もう……君らには……関わらない……」
――――――――――
「ハァハァハァハァ………」
私が彼等への不干渉を告げた瞬間……私を含めてフロアに居たギルドのメンバー達は、まるで
「よし……帰ろうか」
そう言った男は……連れの“フレームジャンパー”に向かって振り返り、一度も使わなかった木刀を血振りしてローブの中に収めた。
「待ち……給え……」
私は……まだよく分からない震えが、舌に伝わろうとするのを必死で噛み殺し、連れだってエレベーターへと向かう二人を呼び止めた。
「ん? まだなんか用か?」
正直に言えば……これ以上彼に関わるべきではない。だが……彼は私の様なニセモノではない……本物の
「君達は……私の言葉を信じるのかね? こんな口約束を私が守るとでも?」
彼は……面倒くさそうに頭を掻いて……
「……
「……は?」
どういう意味だ??
「もし……お前等が同じ事をしたら……
その目……黒い瞳が……三日月の様に細まる。
「まっ待ってくれ……何故だ。それだけの力があれば……私達を従える事も、もっと自分に有利な要求を通す事も出来るじゃないか? 何故そうしない??」
なんだその顔は? 何をそんなに驚いてる??
「はぁ……なぁアンタ……結構な大人だよな? そんな人間に改めてこんな事言うのもなんだけどさ……
男はフロアの人間に向き直った。
「次……
「………?!」
男は……そのまま這いつくばる私だけではなく、フロアのメンバー達に向かってそう言った。
「お前等、俺がお前等の事を赦したと勘違いするなよ……お前等の中には薄々気付いてた奴もいるんじゃねえのか? まったく……気の合う人間が集まって
フロアに居たメンバーの幾人かが……青年の言葉に目を逸らした。
「はは……耳が痛い事を……」
「いいか?
― チンッ…… ―
それは……私が、彼の
いつの間にかギルドフロアに上がってきたエレベーターが開き……
そこには……
「
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