第17話 スキルの謎……③
「お前等の
男……というには幼い顔つきをした青年は、顔に似合わないセリフを吐いたが……
「そうかい」
― ガンッ ―
俺は“Tolbago”の令嬢に向けていた銃口を瞬時に奴に向け、躊躇なく引き金を絞った。手の中で……とてもVRとは思えない
― キンッ ―
ブローバックしたスライドが火薬の代わりに“爆裂魔法”を開放した薬莢を吐き出し、同時に奴のローブに小さな破孔を穿つ……
「俺が言うのもなんだが……
「
「なっ?!」
そこには……物珍しそうに
(……俺は確かに奴の
奴のローブには確かに弾痕が残っている。例え奴がボディアーマーを着込んでいたとしても……弾丸は組織謹製の
「どうした? そんなに
奴のローブに開いた弾痕からは
(信じられん! 逃げるならまだしもこっちに向かって来るとは?)
無造作に握った木刀を肩に掛けて歩み寄る姿に……
(何だコイツは?)
説明の出来ない感情に突き動かされた俺は、もう一度奴の心臓を狙って
― カッ ―
「なっ?!」
乾いた音と同時に……俺の
「やっぱりか……あんたのスキルは“自分の身体”への攻撃をオートで迎撃するんだろ?」
(何故??)
「何で分かったのかって?
「……舐めるな!」
間合いに捉えられたと同時に振り下ろされた奴の袈裟斬りを……俺のスキルが
「へぇ……なかなか鋭いな? もしかして
奴はその場に留まったまま体捌きだけで刃先を躱した。俺は背後に飛んで奴から距離を取る。
「抜かせ……俺のスキル“
仮に、奴の技量が俺を上回っていたとしても……奴の攻撃が俺に届く事は100%無い! 二対一の状況は厄介だが、最終的には俺が勝つ。
「へぇ……じゃあもう一度試してみるとしようか……」
またしても……奴は無造作に俺のゾーンに踏み込んで来る。
「死ね……」
俺は、腰溜めにしたコンバットナイフを身体に隠す様に構え、そのまま奴の懐目掛けて走った。こっちはスキルの効果でヤツからのカウンターを警戒する必要がない……
(ならば……奴に回避する隙を与えない距離に肉迫すれば、逆に俺のナイフを躱す事は出来ん!!)
「当然そう来るよな……スキルが全部の“攻撃”を弾いてくれるなら俺だって捨身の特攻を選ぶ。だけどあんた……
何をブツブツ言ってる? いや……
「問答無用!」
「……まったく。これだから
俺は奴の懐に飛び込み、そのまま腹を
「あんたもだけどさ……
奴が……死角にあるはずの
― ヒュッ ―
その瞬間……俺の身体は奴の懐で回転し、そのまま地面に叩きつけられ……
― ズブッ ―
「うがぁっ!」
(馬鹿な……いつの間に??)
―――――――――
俺に投げられた男は……
「うがぁっ!」
男の背中にはクナイが突き刺ささり……その傷からは盛大に
「馬鹿な……何故スキルが発動しない??」
どうせアバターが感じる痛みは最低値にしてあるんだろうが……
「無理すんなよ。スリップダメージのせいで上手く身体が動かせないんだろ?」
「お前……どうやって??」
どうやってって……
「見たままだよ。あんたは
もしスキルの設定がそんな風になってたら……まともに外も歩けないだろ。
「……そんな欠点があるとはな……夢にも思わなかった」
多分……ゲームを始めてからこっち、スキルの検証なんてろくにしなかたったのだろう。
「……で、どうする? 俺はあんたのアバターがロストするまで徹底的にやってもいいが……アンタが貯め込んだコインやアイテムが
多分、拷問は効果が薄い。痛みを感じないキャラクターなんだから当然だ。あとはこの男の
「クククっ
おいおい……まだやる気か? どう考えても男のアバターにそんな余力があるとは思えないが……男はフラフラになりながら立ち上がり、ジャケットの懐に手を突っ込んだ。
「拳銃は無駄だぞ。マシンガンならまだしも……」
俺は男に警告する。狙撃やフルオート射撃ならまだしも……
「……じゃあな」
男が懐から取り出したのは……
「なんだアレは?」
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