第51話 お仕置き

 撮影は大成功。途中で撮影係をしているアヤちゃんに対して、佳純ちゃんが悪戯を仕掛ける場面があった。


 そのおかげでアヤちゃんもちょっとだけエッチに参加する流れとなり、俺は図らずも久しぶりの元恋人の愛蜜を堪能する事になったのである。


 その余韻に浸っているアヤちゃんは息を乱しながらへたり込んでいた。


「アヤちゃんごめん。ちょっと調子に乗っちゃった」

「う、ううん。気持ち、よかったよ……。これは、お仕置きとしては凄く効果的かもね……。切なくて生殺しで……」


「ねえ愛也奈あやなちゃん……」

「なにカスミン?」


「着替えて、こよっか」


「着替える? 何に?」

「持ってるんでしょ……制服」


「え……?」


「最後までは、まだ早いかもしれない。でも、少しだけ参加するくらいなら、良いんじゃないかなって思うの」


 だから、と佳純かすみちゃんは付け加えた。


 話の脈絡がないように見えて、その意志は伝わっているように思える。


 アヤちゃんは何かに気がついたようにハッとする。


愛也奈あやなちゃん、きっと持ってるよね、制服」


「うん、持ってるよ……」


 佳純かすみちゃんは確信を持ってアヤちゃんに問いかけた。


「勇太郎君の好きなプレイで、二人で喜ばせよう」


 アヤちゃんは部屋を出て行き、自分の部屋から制服を持ってきた。


 ほんの少しだけ懐かしい、俺たちの思い出の学び舎で着用していたあの制服を……。


「じゃあ、着替えるね」


愛也奈あやなちゃん、そのまま、そこで……。勇太郎君に見られながら……」


 ドキンッ……


 アヤちゃんの顔が紅潮し、興奮したのが分かる。


 佳純かすみちゃんはなんでこんなことを言い出したのだろうか。


「ごめんね勇太郎君……。愛也奈あやなちゃんのお仕置き、色々相談してパターン決めてきたの。それに、これは愛也奈あやなちゃんが望んだ事でもあるから」


 つまりストリップか。俺的にはちょっとかわいそう過ぎる感じもするが、アヤちゃんの表情は………。


「ゆう君、見ててくれる?」


 懐かしい感じがした。あれはアヤちゃんが興奮して挑戦したがってる時の顔だ。


「分かった」


 俺はベッドに腰掛けてアヤちゃんの姿を見続けることにする。


 恥じらうアヤちゃんを見るだけならまだ許したことにはならないか。


 もうそれもあまり意味のある縛りではないような気がしてきた。


 無理矢理そういう意味づけをすることでアヤちゃんが何かを決意できるならそれを受け入れよう。


「ん……ゆう君に、見られてる……」


 赤らんだ頬で衣服を脱ぎ始めるアヤちゃんの艶姿。


 懐かしい裸体が徐々にあらわになっていき、見たことの無いブラジャーは鮮やかな白だった。


 俺たちの母校の制服はブレザーだった。


 白い夏服の青いカラーはアヤちゃんの豊満なボディにアンバランスさを与えている。


 しかし、その懐かしさたるや、俺の記憶にある彼女よりも色気が増している。


 そこで、ふと気がついた。


 アヤちゃんは、これまで誰かと付き合ったりしたのだろうか。


 元カノの過去を気にするなど器の小さい男のいやしい詮索になってしまうが、そうだとしても関係ない。


 例えアヤちゃんがこの一年半で誰かと付き合っていた事があったとしても、俺に対する気持ちに嘘はないはずだ。



 アヤちゃんの制服スタイル。白いブラウス。青い襟。ミニ丈に詰めたプリーツスカート。


 俺が頼んで身につけてもらうことになったニーハイソックスは制服のスカイブルーによく合う白。


 やっぱり可愛い。佳純かすみちゃんにまったく劣らない、俺好み100%のかわいさだ。


 比べるなんて失礼なのは分かっているけど、俺が好きになった女の子が誰かに劣っている事はないのだ。


「着替えた、よ……」

「やっぱり綺麗だ……。高校の時より、ずっと綺麗になってるよアヤちゃん」


「あ、ありがとう、ゆう君」


「うん、私もそう思う。凄く可愛いよ愛也奈あやなちゃん。……ねえ勇太郎君」

「なんだい?」


「やっぱり、今から愛也奈あやなちゃんとセックスしてあげてくれないかな?」


「え、だ、だめだよカスミン。まだお仕置きたった二回目だし」


 確かにまだ二回目ではあるが、俺としてはもう二回も、という感じもする。


「大丈夫だよ愛也奈あやなちゃん、だってほら……勇太郎君、すごく興奮してる」


 大当たりである。もう辛抱たまりません。

 アヤちゃんの即席ストリップandお着替えショーですっかりバキバキに復活していた。



「嬉しい……私で、興奮してくれるの?」

「ああ、凄く綺麗だから。アヤちゃん、まだ自分が許せない?」


「う、うん……まだ、心はチクチクしてる」


 アヤちゃんはまだ迷いがあるようだ。ここは俺からリードするべきだろう。


 例えこれが間違った選択であったとしても、その後の行動に俺自身が責任を取る決意をすればいい。


「……佳純かすみちゃん、いいね?」

「うん。おねがい勇太郎君、愛也奈あやなちゃんを……」


 俺は佳純かすみちゃんに背中を押してもらう形で立ち上がり、いまだに逡巡して立ち尽くしているアヤちゃんに近づいていく。


「あ、ゆ、ゆう君……っ」


 俺はアヤちゃんを抱きしめる。

 ここは勢いに乗らせてもらう。



「だったら、俺がアヤちゃんを抱きたいからって事にしよう。君は罰を受けるために、俺のオモチャになる、なんてのはどうかな?」


 名目なんて何でも良かったが、アヤちゃんが罪悪感を感じずに、あるいは贖罪の気持ちで受け入れてもらうためにはこう言う言い方がいいかもしれない。


「ゆう君……ありがとう。うん、抱いてください……オモチャでいいです。ゆう君のぬくもりが、欲しい」


「やっと本音が聞けた。ほら、こっちにおいで。佳純かすみちゃんと一緒にしよう」


 アヤちゃんをベッドへと導き、優しく押し倒して覆い被さった。


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