第24話 決意【第1章 完】
俺と
改めて
【差出人:柳沼
[件名:もう一度お願いします]
【本文:あれからずっと勇太郎君との時間が忘れられないです。この気持ちをハッキリさせたい。だからもう一度お願いできませんか?】
『忘れられない』という文字。
やはり、
多分だが、彼女自身の性格がそうさせるのだろう。
今回濃密に接してみて分かったことがある。
引っ込み思案で流されやすいがゆえに、相手を傷つけないように振る舞うことで自分が傷付くことを避けていたのかもしれない。
しかし、それは単に問題の先送りであり、後ろにシフトするほど、後で回ってくるツケのダメージは計り知れない。
その場その場で傷付くのを避ける為に、逃げの行動をとってしまう。
自己防衛の一種で誰にでもある部分だが、彼女は特にその傾向が強いように思う。
もしそうであるなら、
恋愛とは、どちらか一方の思いだけでは成立しない。
高彦の方が
二回目の寝取らせを提案された時、俺の脳裏にはある一つの考えが巡っていた。
それは、やはり俺は
しかし同時に、俺の目的はあくまで
そのための条件が高彦と一緒にいることなら、俺は喜んで協力しようと思った。
だが、まさか
このメールは、そんな
これを断ることは彼女を不幸にしてしまう。
彼女が自分で決めることができない以上、それを促すのが俺の役目だ。
なぜなら、
俺にとってどちらも大切な人であるが、それでもどちらか一方に優先順位を付けろと言われたら、
高彦は器用な奴だし、本当に良い奴なのですぐに彼女くらい見つかるだろう。
このメールがなかったら、高彦から無理やり引き離すのは選択を誤ることになると感じたかもしれない。
本来なら、本人からハッキリ言ってもらうように説得するのが正しい。
しかし、彼女の精神的な弱さを考えると、それは今の時点ではかなり困難であることが分かる。
だからこそ、この寝取らせプレイに乗じるほかはないだろう。
それと同時に、俺は自分の想いを遂げるためにも動いていこうと思う。
であるなら、そのパートナーに相応しいのは、俺か高彦か、あるいはまだ見ぬ別の誰かなのか。
見極める必要が今まではあった。
だが、今回は
今はまだ、自分の本心に気が付いただけの状態だ。
本当の意味で俺を求めてくれているのか、それとも手を差し伸べたのが偶々俺だったからなのか。
吊り橋効果で熱病に浮かされているような状態ともいえる。
そうであるなら、必ず
(悪いな高彦。
俺は寝取りが嫌いだ。
寝取るのも、寝取られるのも、ましてや寝取らせるのも……全部全部、他人の不幸の上に成り立つ快楽だ。
そんなものはあっちゃいけない。成立しちゃいけないんだ。
でも、放置することで好きな人が不幸になるなら、敢えて寝取ってみせるさ。
自分への綺麗事を廃して、俺は好きな人が一番幸せになれる道を模索する。
今回の件を経て、俺も一つの決意をした。
やはり、寝取りが好きだという性癖は、現実に持ち出すべきじゃない。
俺は
だから高彦には悪いが、今という条件でできる最大限のことをやらせてもらう。
本筋で言うなら
そしてその原因が寝取らせだったことをハッキリと告げてもらう。
これが一番手っ取り早いし、王道だ。
だが、今の彼女にはそれが困難。そして高彦もそれで反省するかどうかは分からない。
だったら、一度徹底的に痛い目に遭ってもらうのが良いかもしれない。
友人を失うことになるかもしれないが、それでも必ず誰も不幸にならない道を選んでみせる。
俺の挑戦は、まだ終わらない。
【第一章 完】
――――――――
ここまでの読了、誠にありがとうございます!
3人の恋の行方やいかに。
次回から新たなヒロインが加わり、物語はますます盛り上がっていきます。
続きが気になる方は、
★★★レビュー、ご意見ご感想、是非とも!!
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