第14話 それは言わないで(泣)
「凄かった」
「そうか。喜んで貰えてよかったよ。じゃあ、今度は……お願いできる?」
「え……あ……」
俺は彼女に訴える。その意味を理解した
彼氏のと比べてどう? なんて聞くことは出来なかった。
俺は自分の持ち物にあまり自信がある方ではない。
いや、多分平均値でいえば少し短いだろう。
言ってしまえば短小だ。
「よかった……そんなに大きくなくて……」
「ぐほぁっ!!?」
小さく呟いたつもりなんだろうがバッチリ聞こえてしまう。
ノミの心臓が潰されるようなダメージを受けた。
「えっ、えっ、ど、どうしたの勇太郎君!?」
「男にとってソコのサイズが小さいと言われるのは心臓が潰されるくらい辛い言葉なのです……」
「あ、ご、ごごご、ごめんなさい……バカにしたわけじゃなくて、その……」
「良いんだ、分かってる。高彦に比べれば小さいってことだろ?」
きっとそうだろうとは思っていたが、事実として突きつけられると非常に辛いところだ。
涙目である。しかし、彼女の言いたいのはそういう事ではないらしい。
必死に首を横に振ってその意味を否定した。
「そ、そうなんだけど、そうじゃなくて……」
「じゃあどういう意味?」
俺は少々むくれながら、その真意を確かめる。
「その、高彦君のって、凄く大きいらしくて……」
「え、あいつそんなにデカいの?」
「んと、このくらい……」
それはあまりにも長く、デカマラと言ってもいいレベルだ。
漫画の世界の住人かあいつは?
「高彦君は自慢してたけど……いつも、ちょっと痛かったから」
陰茎の大きさとは、男のアドバンテージとして絶対的神話を築いているが、現実の女の子にとってはそうじゃないらしい。
「ああ、なるほど……女の子にとっては、大きいことが良いことばかりじゃないってことか」
「そうだね。私にとっては、ちょっと辛いかも」
ある意味で、陰茎の大きさとは男の自信の象徴のようなイメージがあったが、それが
「じゃあ、大きければ良いってもんじゃないところ、高彦に見せてあげよう」
「うん……じゃあ――」
「あ、ちょっと待って」
三脚に固定されたビデオカメラを手に持って眼下にレンズを向ける。
「それじゃあ宣言して。
「はい……私は、自分の意思でご奉仕します。高彦君、見ててね。今から貴方じゃない男の人に、ご奉仕するから……」
モニターに映り込んだ
夢にまでみた
◇◇◇
【side
違った……。何もかもが違った。
勇太郎君の愛撫。前戯というらしいその行為を、私は今まで知らなかった。
高彦君のセックスはもっとこう……なんて言ったらいいんだろう……。
ワイルド? ううん。言い方は悪いけど、自分本位。
乳首を触ったり、あそこを触ったり……。
自分の欲望をぶつけている感じで触ってくる。
一定時間満足したら、本番をする。
それがスタンダードだった。長くて大きな高彦君のあそこは、私にとっては少しだけトラウマになっている。
その延長か、私はお口のご奉仕も苦手だった。
苦しくて息ができない上に、アゴが外れそうになる。
その点、勇太郎君のは凄くちょうど良い。
男の人にとって、その言葉はどうやらプライドを傷つけてしまうらしい。
だけど私にとっては凄くちょうど良かった。
そして何より、これだけ私を気持ちよくしてくれた勇太郎君を、私も気持ちよくしてあげたい。
生まれて初めて、自分からしてみたいと思うようになった。
私は目の前でカメラを構える勇太郎君を見つつ、熱くなった身体の火照りに心地良い余韻を感じながら口を開くのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます