第5話 SNS時代の光と影
SNSの普及により、私たちは情報にアクセスする手段を飛躍的に増やした。個人が自由に発信できる時代になり、従来のメディアが隠してきた「真実」が暴かれることも少なくない。しかし、SNSは私たちを本当に自由にしているのだろうか? その裏には、新たな問題も潜んでいる。
SNSが暴いたメディアの嘘
SNSは、これまで大手メディアが独占していた情報発信の権利を個人に解放した。記者やカメラマンでなくても、現場の写真や動画を瞬時に全世界に共有できる。たとえば、震災や災害の現場から届く生々しい映像は、報道機関が切り取った断片的な情報とは異なる、リアルな現状を伝える力を持っている。
また、SNSでは政府や企業によるスキャンダルが暴かれるケースも増えている。匿名性を活用した内部告発や、市民ジャーナリズムによる検証が、大手メディアが触れない問題に光を当てることがある。これは、従来の報道機関の限界を補完する新しい力として期待されている。
広がる情報の自由と規制の現実
しかし、SNSの自由さは時に問題を引き起こす。フェイクニュースの拡散や、デマ情報による混乱がその典型例だ。誰でも発信できる反面、その情報の正確性が保証されないため、無責任な投稿が一気に広まり、社会的な混乱を招くことがある。
この混乱を防ぐという名目で、政府や企業がSNSを規制しようとする動きも増えている。特定の投稿が「不適切」とされ、削除されたり、アカウントが凍結されたりするケースが後を絶たない。その基準が透明でない場合、正当な意見や批判が抑えられる危険性がある。
さらに、SNS企業自体が権力を持つようになり、アルゴリズムによって「何を見せるか」をコントロールしている現状も問題だ。これにより、私たちはSNSを通じて「自由」に情報を得ているようでありながら、実際には特定の情報に偏る可能性がある。
SNSとメディアの新たな関係
SNSの普及は、従来のメディアにも影響を与えている。多くの報道機関がSNSを活用して情報を発信しているが、それにより視聴者や読者の意見に敏感になり、よりセンセーショナルな内容に偏るリスクも高まっている。
逆に、SNSで拡散された情報が大手メディアに取り上げられることで、現実の社会問題に影響を与えることもある。たとえば、SNSでの批判が政府や企業にプレッシャーを与え、政策変更や改善を迫るケースも見られる。
SNS時代の私たちに求められる力
SNSがもたらした情報の自由は、私たちに大きな可能性を提供している。しかし、その裏で情報を選別し、批判的に考える力が求められている。SNSの投稿を鵜呑みにせず、自ら調べ、真偽を確かめる習慣を持つことが重要だ。
また、規制や情報統制が進む現状に目を向ける必要がある。SNSを利用する私たちは、発信する側としても責任を持ち、情報の信頼性を意識しなければならない。
次回は、メディアと権力の癒着について考える。報道機関が「監視者」としての役割を果たさず、権力の一部となる現実に迫りながら、私たちは何を信じ、どう行動すべきかを探る。
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