◆ 【MAIN SCENARIO:美人の島の魔法の鏡】◆

◆ 【MAIN SCENARIO:美人の島の魔法の鏡】◆


【概要】

 ファゲルズァート島の女性達は皆美しく、特に肌は色白で潤いに溢れているという。

 そんなファゲルズァート島の美肌に目をつけた化粧品会社ELIXIR ROUGEは調査員を派遣し、その秘密がロクザと呼ばれる固有種の実にあることを突き止める。

 化粧品会社ELIXIR ROUGEの調査員は報告後にロクザの実の一大生産地である美白村に向かい失踪を遂げてしまった。

 失踪した調査員の捜索のために港町リュレーエにやってきた化粧品会社ELIXIR ROUGEの調査団と遭遇した探索者達は食べると美しくなれるロクザの実に興味を持ち、美白村に向かうことになる。


【主な登場人物(ネタバレあり)】

早乙女さおとめ紅緒べにお

 化粧品会社ELIXIR ROUGEの社長。その美貌から世界的なモデルとしても知られる。

 元々はお世辞にも美しいとは言えない容姿で、名前負けした見た目などが理由で虐めに遭っていた。そのため、美に対して病的なほど執着している。

 「ショゴスの完全なる従属」と呼ばれる魔術を習得し、その力で神話生物のショゴスを従属させ、彼らを研究してその研究成果を取り入れることで美しい容姿を獲得したがトップモデルになっても美への執着が捨てきれずにいる。

 複数のショゴス・ロードを人間に擬態させて護衛として連れている。


・ミロワール

 美白村の鏡に封印されていた悪霊。紅緒がロクザの原初の樹に近づいた際に彼女の美への執着の感情に当てられて復活する。

 顔は焼け爛れ、黒い眼窩の中に青白い輝きが灯っているという悍ましい姿をしている。

 相手の美しさ(APP)を吸収する能力を持ち、APPを全て吸い取ることで相手を呪い殺すことができる。

 その正体は地殻変動が起きる前、つまりかつてファゲルズァート島がファゲルズァート大陸だった時代に現在のファゲルズァート島にあたる地域を治めていた領主の娘。

 元々は美しく心優しい少女だったが、その美貌を通っていた学園の生徒に疎まれて顔を焼かれて殺された。

 その後、美しさに執着して悪霊と化して美しい者達を狙って殺人を繰り返していたが困ったファゲルズァート島の有力者が海外から優秀な術師を呼び寄せ、その術師によって鏡に封印された。

 本名はミロワール=アルヴレイズ。


・美白村の村長

 シナリオ中には明かされていないが、本名はレーテ・コギト・エルゴ=スム。

 アルヴレイズ領の農家の生まれ。ミロワールとは同い年で幼い頃にはよく遊んでいた。

 アルヴレイズ伯爵に後を託され、美白村を守ってきた人物。

 百歳を超えているが、見た目は二十代の頃から変わらない美魔女。

 黒いドレスを着た銀髪碧眼の年齢不詳の女性と描写される。

 その精神力も戦闘力も桁違いで、ショゴス・ロードを一瞬にして石化させ、その石像を杖一つで粉砕できるほど。


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【NPC】レーテ・コギト・エルゴ=スム、美白村村長

耐久値HP:1000 魔力量MP:9999

STR:9999

CON:9999

SIZ:70

DEX:9999

INT:80

POW:9999

APP:300

正気度:1000(途轍もない精神力をしており、フェルマダとの遭遇以外で正気度は減らない)

ダメージボーナス:+500


1ラウンドにつき3回行動


技能

<石化の魔術:automatic success>狙いを定めた複数の対象を石化させる。抗う術は存在しない。

<近接戦闘(杖):automatic success>ダメージ1D100+DB。杖による破壊的な一撃。

<母国語(ファゲルズァート語):100%>

<外国語(全ての言語:80%>


※その他の技能は50%で判定します。

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【シナリオの導入】

 港町リュレーエのリュレーエ港についたタイミングでイベントが発生し、化粧品会社ELIXIR ROUGEの調査員二人が早乙女紅緒に怒られている光景を目にします。その際に「ロクザと呼ばれる固有種の実が美白村にある」という情報を<聞き耳>に失敗しても得ることができます。成功した場合は「ロクザの実には更に美肌効果がある」といった更に詳しい情報を得ることができます。

 このイベントに遭遇することがシナリオ開始フラグになっていますが、その時点では美白村を探索場所に選べないため美白村について情報収集をする必要があります。

 美白村について所在地情報を得ると探索場所に指定できるようになります(具体的には路線バスで移動できる駅が一つ追加されます)。


【イベント:リュレーエ港にて早乙女紅緒との初遭遇】


 港に到着した探索者達はスーツ姿の二人の男性達にヒステリックにキレている美しいスーツ姿の女性を目撃します。

 ここで全員<聞き耳>を振ってください。失敗した場合でも、「ロクザと呼ばれる固有種の実が美白村にある」という情報を入手できます。成功した場合はは「ロクザの実には更に美肌効果がある」といった更に詳しい情報を得ることができます。

 なお、断片的に漏れ出てくる情報から「スーツ姿の男性達は女性が経営する会社の社員で、どうやら美白村との交渉が上手くいっていないため怒りを露わにしていた」ことが分かりますが、詳しい内容は分かりません。

 女性達はその後、リュレーエ港を後にします。


【シナリオの流れ】

①美白村について情報収集をする。


 先程のイベントでシナリオ開始のフラグは立っていますが、開始するためには美白村の情報を集める必要があります。

 基本的にどの島民に話を聞いても美白村について教えてくれます。

 聞ける情報は以下の通りです。


Q.美白村の名産品は?

A.ロクザの実。食べると美しくなれるという噂がある。最近はELIXIR ROUGEという有名な化粧品会社が美白成分に興味を持って調査しにきているみたいだ。


Q.美白村への行き方は?

A.バスに乗って美白村のバス停で降りるのが近道。一応、大樹海からでも行けるけど、オススメはしない。

→この質問後に路線バスの駅に美白村が追加されます。


Q.美白村について知りたい

A.今は小さな村だが、かつては現在のファゲルズァート島のほぼ全域を収めていたアルヴレイズ伯爵家の領都があった。アルヴレイズ伯爵家はファゲルズァート王家の懐刀で代々宰相を務めていたことから宰相家とも呼ばれていた。中でも伯爵令嬢のミロワール=アルヴレイズ嬢はとても美しい容姿をしていたらしい。ミロワール嬢は優しい心の持ち主で、特に固有種のロクザの樹を大切にしていた。




②美白村を訪問する。


 バスに乗り、追加された美白村のバス停で降ります。

 美白村のバス停から歩いて数分で美白村に到着することができます。

 エリアは美白村村長の家、美白村商店『ロクザ』、美白村旅館『柘榴亭』の三つに分かれています。

 詳細は◆【エリア紹介:美白村】◆をご覧ください。

 村に到着した直後、美白村村長の家が少し騒がしくなっていることに探索者達は気がつきます。




③美白村村長の家を訪問する。


 美白村村長の家を訪問するとイベントが発生します。


【イベント:美白村村長の家①】


 美白村村長の家に入るとリュレーエ港で見かけた女性が二人の部下を伴って村長と話をしている場面に遭遇します。


???「ELIXIR ROUGEの社長を務めている早乙女紅緒よ。既に私の会社の部下からも話は聞いていると思うけど、ロクザの実を使った化粧品をうちのお店で取り扱いたいの。勿論、相応の報酬はお支払いするわ。どう? 私の会社との専売契約を結んでくれないかしら?」


村長「ロクザの実の取引については応じるが、専売というのであれば話は違うな。美白村はロクザの実のおかげで観光地として栄えておる。わざわざ村に来てくださった観光客の皆にもロクザの実を味わってもらいたいのじゃ。それに、小さいながらも美白村は観光地として栄えておる。専売などにしたら彼らの生活はどうなるのじゃ?」


紅緒「そんなの、うちの会社で働けばいいでしょう? 少なくとも、こんな小さな田舎の村で暮らすよりももっと幸せな生活を送れるわ」


村長「……傲慢じゃな。村を丸ごと会社のものにして、使い潰すつもりじゃろう。ロクザの実を独占できればそれで十分という考えじゃな。……大体、小さな田舎の村と呼んでいる時点で蔑みの視線が隠せてないわ。良いか! この村は領主様より託された村じゃ! 貴様らのよくな欲深き者達と取引する気はない! お引き取り願おう!」


紅緒「えぇ、今回は帰らせてもらうわ。でも、いいのかしら? こんな村、私の手にかかれば簡単に捻り潰せるわよ! 私に逆らったことを後悔しなさい! 行くわよ!!」


村長「……欲深く、人の大切なものを踏み躙ろうとする輩には相応の罰が下る者じゃ。そのことを肝に銘じておくが良い!」


 このイベント後、美白村商店『ロクザ』の商品が全て売り切れになります。

  【MAIN SCENARIO:美人の島の魔法の鏡】のシナリオが終了するまで購入することはできません。


 美白村村長の家では村長と話をすることができます。

 初回は「騒がしくてすまなかったのぅ。ここは美白村、小さな村じゃがごゆるりとお過ごしくだされ。……まあ、あの傍迷惑のお客のせいでゆったりはできぬかもしれないがのぅ」と探索者に謝罪の言葉を口にします。

 村長から聞ける話については◆【エリア紹介:美白村】◆をご覧ください。なお、この時点でロクザの原初の樹に行こうとしても「申し訳ないが、あの場所は村の中でも神聖な場所でのぅ。外から来たお客様に許可は出せないのじゃ」と断られてしまいます。




④美白村旅館『柘榴亭』に行く。


 宿泊場所の確保のために美白村旅館『柘榴亭』に行くとエントランスでイベントが発生します。


【イベント:美白村旅館『柘榴亭』】


 美白村旅館『柘榴亭』のロビーに入った探索者は早乙女紅緒が複数の部下の男達を伴って受付嬢と話しています。


受付嬢「す、スイートルームの貸切ですか?」


紅緒「えぇ、私のELIXIR ROUGEがこの村に滞在している期間、スイートルームに泊まりたいの」


受付嬢「で、ですが、既にスイートルームに泊まられているお客様もいらっしゃいますので全てのスイートルームをお貸しすることは……」


紅緒「どうせ、こんな小さな村に観光に来ている客なんてただの小金持ちでしょう? そんなの追い出しなさい! 私の方がそんな連中より金を払ってあげるわ。……それとも、武力で分からせられたいかしら?」


受付嬢「ひっ、ひぃ――ッ!! しょ、少々お待ちくださいッ!!」


 血相を変えた受付嬢はそう言い残してホテルの中へと消えていきました。

 紅緒はしばし受付の方を見ていましたが、しばらくすると探索者達に気づいたのか視線を向けます。


紅緒「あら、誰かと思ったら先程大事な商談を盗み聞きしていたドブネズミ達じゃない。はしたないわね、盗み聞きなんて。ああ、嫌だ嫌だ。あら? まさか、この旅館に泊まる気じゃないでしょうね? 私達はスイートだから会うこともないでしょうけど、同じ建物に一緒にいるなんて嫌な気分になるわ。あら、何かしらその目は。本当に腹が立つわね。別にドブネズミが何をしていても知ったことではないけど、くれぐれも私が更に美しくなる、その邪魔だけはしないで頂戴!!」


 そう言い残し、紅緒と部下達はは戻ってきた受付嬢と旅館の中へと消えていきました。

 

 このイベント後、美白村旅館『柘榴亭』のスイートルームでの宿泊はできなくなります。

 なお、スイートルームに宿泊していた客達は部屋から放り出されてしまったようです。

 受付嬢に文句を言っている客やとっとと美白村から出て行こうとしている客など反応は様々ですが、いずれも紅緒と美白村旅館『柘榴亭』に激しい怒りを持っているようです。




⑤悪巧みをする紅緒。

 翌日、美白村村長の家に向かうと、怒り狂った紅緒が部下達と共に出てきます。

 その際、探索者達の姿を見つけると睨め付けてくるかもしれません。

 その状態で美白村村長の家を訪問するとイベントが発生します。


【イベント:美白村村長の家②】


村長「ああ、あの小娘にも困ったものじゃ。……それに、あやつらの妨害で村の商店の品物は品切れになり、本当に欲している観光客が買えなくなっている。それに、『柘榴亭』では横暴な態度を取ってスイートルームの客達を追い出したそうじゃないか。……このままでは、美白村が観光客から嫌われてしまう。これでは、伯爵との約束が……」


 そこまで独り言ちたところで探索者達の存在に気づいた村長は独り言をやめます。

 なお、村長から聞けることについては変化がありません。


 村長の家を出たタイミングで、紅緒が何やら独り言を言っているところに出くわします。盗み聞きをする場合は<聞き耳>を振ってください。

 失敗した場合は情報は出ませんが、成功した場合は以下の話を聞くことができます。


「……本当にムカつくわね。ここまでやったのにまだ頑なに私達との取引を拒否するなんて! もっと嫌がらせを……って、そういえば村人が何か言っていたわね。原初のロクザの樹だったかしら? 他のロクザよりも美白の力があるって噂もあるそうね。村の男手が二人で守っていて、村長の許可がなければ樹に近づけないみたいだけど、知ったことじゃないわ。私の部下達に捻り潰させましょう。でも、もう一回だけチャンスを与えて差し上げようかしら? 今度は原初のロクザの樹の許可も求めて……もし、これ以上頑なに拒否するのであれば本物の絶望を与えて差し上げるわ! 私に逆らうことがどれほど恐ろしいか、あの妙に美しくて腹立たしい村長にたっぷりと教えてあげなくちゃねッ!」


 <聞き耳>に失敗した場合は情報が得られないだけでなく聞き耳を立てていたことに気づかれて睨め付けられます。

 なお、一人失敗で近くにいた探索者全員が気づかれます。なお、睨まれるだけで特に何かをされる訳でも今後の展開に変化がある訳でもありません。ただ睨まれるだけです。




⑥動き出す紅緒


 翌日、美白村村長の家が少し騒がしくなっていることに探索者達は気がつきます。

 美白村村長の家を訪問するとイベントが発生します。


【イベント:美白村村長の家③】


紅緒「これが最後の機会よ。ロクザの実の専売契約、そして原初のロクザの樹の元に案内なさい!」


村長「百歩譲って仮にロクザの実の専売契約を結んだとしても、あの樹だけには絶対に近づけさせん! あの樹は、アルヴレイズのお嬢様の……」


紅緒「もう既に死んだ人でしょう? そんなのどうだっていいんじゃない。死人に口なし、どうせ何にもできないんだから! この私の貴重な時間をこれだけ浪費させたのよ! これが最後の慈悲だったのだけど従わないのであれば……本当に後悔しても知らないわよ」


 捨て台詞を吐いて紅緒は部下を伴って去っていきます。その際、紅緒が探索者達に気づいた場合は親の仇でも見るような目で睨め付けられるでしょう。

 なお、睨まれるだけで特に何かをされる訳でも今後の展開に変化がある訳でもありません。ただ睨まれるだけです。

 村長から聞けることについては変化がありません。


 紅緒は部下達に引き続き嫌がらせをさせますが、本人は美白村旅館『柘榴亭』のスイートルームに篭ってしまいます。

 その日の夜になるまではイベントは発生しません。


 その日の夜、探索者達が美白村に滞在している場合は悲鳴を耳にして真夜中に目を覚ましてしまいます。

 美白村旅館『柘榴亭』を飛び出すと、村人達が何者かに襲われていました。


 辛うじて人型を保っているゼラチン状の恐ろしい姿の化け物――ショゴス・ロードの群れを目撃したことで<SAN値チェック:1D6/1D20>が発生します。


 ショゴス・ロードは探索者達の姿を認めると一斉に探索者達へと襲い掛かってきます。

 ショゴス・ロード×10との戦闘開始です。……と思いきや、探索者達を守るように一人の女性がショゴス・ロードと探索者の間に割って入ります。


 その女性――美白村の村長がショゴス・ロードの群れに杖先を向けた瞬間、ショゴス・ロードは一斉に石化してしまいました。

 村長は杖を優雅に振り回してショゴス・ロードを殴りつけると、石化したショゴス・ロードの身体は一瞬にして粉砕してしまいます。


村長「大丈夫か? 怪我はないか? ……折角、楽しむつもりで観光に来ていたところ、このような事態に巻き込んで申し訳ない。……うむ、しかし困った。奴らは森の奥――原初のロクザの樹が眠る広場に向かってしもうた。あのショゴス・ロードに似た化け物相手は流石に無理があったようじゃな。予想以上に敵の数が多い。妾も村を守らなければならないし……お主達、先程ショゴス・ロードと戦おうとしていたようじゃな。多少なり腕は立つのじゃろう。儂の代わりにあの小娘を倒してきてはくれぬか? あの樹は大切なものなんじゃ! あの樹は、お嬢様が大切にしていた……どうか、力を貸してほしい!」


 村長の提案に応じれば原初のロクザの樹のある広場に行く許可をもらえます。

 なお、広場を守る衛兵達はショゴス・ロードの手によって殺害されており、蘇生は不可能です。村長もその場を離れられないため、探索者達だけで広場に向かうことになります。




⑦原初のロクザの樹の広場にて……。


 探索者達が広場に入るとイベントが発生します。


【イベント:原初のロクザの樹の広場にて①】


紅緒「何? この汚らしい祠。これが、あの村長のクソ女が言っていた大切な場所? 馬鹿馬鹿しい!」


 紅緒は原初のロクザの樹の近くにあった祠を蹴飛ばしました。


紅緒「このロクザの樹は私のものよ!! 誰にも渡さない!! 私はね! 美しくないといけないの!! もっともっともっと美しくならないといけないのよ!!! あの頃に戻る訳にはいかないの!! 名前負けしている醜い容姿だって虐められて、馬鹿にされて、沢山酷いことをされて!! あんな地獄の日々に戻る訳にはいかないの! 美しい顔を手に入れて、美しい容姿を手に入れて、今まで私のことを虐めてきた馬鹿な女達を驚愕させた時、私は最高の優越感に浸れたの!! 私はもっともっともっともっと美しく美しく美しくッ!! 世界で一番の美女になるの!!! 邪魔は、誰にもさせないわ!! ショゴス・ロードッ!! 貴方達、コイツらを始末なさい!!」


 紅緒の側についていた二人の部下の姿が崩れ始め、ショゴス・ロードの姿へと変貌を遂げます。


 イベント終了後に早乙女紅緒とショゴス・ロード×2との戦闘が開始されます。

 詳細は◆『エネミー図鑑』の情報◆をご覧ください。




⑧鏡の悪霊


 紅緒とショゴス・ロードを撃破すると、イベントが発生します。


【イベント:原初のロクザの樹の広場にて②】


 早乙女紅緒には致命傷にも等しいダメージを与えた筈ですが、美に対する執念がそうさせるのか傷口から溢れる血にも気にも止めず、一心不乱にロクザに手を伸ばそうとします。


 その時でした。祠が破壊されて、地面に落ちた鏡が黒いオーラを放出し、自然に空中に浮かび上がりました。


???『美シイ顔、美シイ容姿……許サナイ! 許サナイ! 許サナイ!! 美シサヲ吸イ取ッテ、呪イ殺シテヤル!!』


 鏡のモヤは幽霊の姿を形作ります。


 顔は焼け爛れ、黒い眼窩の中に青白い輝きが灯っているという悍ましい姿をした幽霊の姿を目撃したことで、<SAN値チェック:1D10/1D40>が発生します。


紅緒「な、なんなのよ! 醜いっ、化け物ッ!!」


 紅緒が「化け物!」と叫んだ瞬間、周囲の空気が極寒になったような感覚を探索者は味わうでしょう。

 そこからは一瞬でした。幽霊から伸びた無数の透明な触手が紅緒を貫きます。すると、紅緒の身体は少しずつ醜くなっていきます。ショゴスを研究することで手に入れたハリのある肌は次第に皺皺になり、シワ一つない手は老婆のように細くしわくちゃになり、骨が浮き始めます。

 その後も美しさを吸われ続けた紅緒はこの世のものとは思えない醜い姿に成り果てて息絶えました。


???『鏡よ鏡、鏡さん! 世界で一番美しいのはだーれ! それはね、アルヴレイズ伯爵令嬢のこの私! ミロワール=アルヴレイズ!』


ミロワール『そんな私が醜いなんてあり得ない! こんな醜い姿でいい訳がない! さあ、世界で一番美しい女に返り咲くわよ! 手始めに、貴方達の美しさ、全て搾り尽くしてあげるわ!!』


 ざぁぁーざぁぁーっ!


 イベント終了後にミロワールとの戦闘が開始されます。

 詳細は◆『エネミー図鑑』の情報◆をご覧ください。

 なお、『古びた手紙』を朗読するとミロワールを倒さずに戦闘を終了することが可能です。

 ミロワールを撃破するか、ミロワールを撃破しないかで展開が分岐します。




⑧′ ミロワールを撃破した場合


ミロワール『私は、美しくなりたかった、だけなのに!! ぎゃぁぁっ!!』


 ミロワールは断末魔を上げて爆散します。

 ミロワールが消滅したことで原初のロクザの森の広場にようやく平穏が戻りました。


 その後、探索者達は村長に広場で起きたことを伝えるために美白村に戻ることになるでしょう。

 美白村に戻った探索者は村長に広場で起きたことを話します(ロールプレイでも『かくかくしかじか』でも構いません)。

 話を聞き終えた村長は、ほんの少し悲しそうな顔をしたように探索者達は感じましたが、すぐに顔から表情が消えてしまい、その心のうちは窺い知れなくなります。


村長「……この度は村を救ってくれて本当にありがとう。細やかかもしれないが、お礼を支払おう。どうか受け取ってもらいたい」


 その後、村長から20,000,000 円相当のお礼とを支払ってもらえます。

 また、一緒に『反転バッジ』×1を手渡されます。


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・反転バッジ

 致命的な失敗を奇跡的な成功に塗り替えることができるバッジ。

 装備している探索者がファンブルを出した場合、10%の確率でクリティカルに変えることができる。なお、このクリティカル判定では技能値を成長させることはできない。

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⑧′′ 『古びた手紙』を朗読した場合


ミロワール『えっ……』


 手紙の朗読を聞き、ミロワールの動きが止まりました。


ミロワール『その手紙は、本当にあの人が書いた手紙なの!? ……もし、それが事実なら、私はなんてことを……許してくれなくてもいいって!? そんな、訳、ない、でしょう!! 顔を焼かれて、最大の取り柄だった容姿の美しさを失って、それでも側にいようとしてくれた貴方に……恨むなんて、憎むなんて、そんなこと、絶対にッ!! できる筈ないじゃない!! ……ああ、私はなんで忘れていたのかしら? ……本当は美しさなんてどうでも良かった。領民が大好きで、家族が大切で、婚約者になったあの人が大好きで、大好きなみんなに囲まれているだけで幸せだったのに。……私は多くの罪を犯してしまったわ。きっと、天国に行った彼とは二度と会えないのよね。…………私もね、ずっと、貴方のこと、愛して……よ』


 目があるべき場所から雫が溢れます。

 ミロワールの身体は眩い光に包まれて消えていきます。

 ミロワールの成仏を見守った探索者達は、村長に広場で起きたことを伝えるために美白村に戻ることになるでしょう。


 美白村に戻った探索者は村長に広場で起きたことを話します(ロールプレイでも『かくかくしかじか』でも構いません)。

 話を聞き終えた村長は、ほんの少し悲しそうな顔をしたように探索者達は感じましたが、その後、どこかホッとしたような顔をしました。


村長「そうか……ミロワールお嬢様は……。あの方が昔のような優しさを取り戻して、あの世に行かれたのであれば、それで十分じゃ。ありがとう〇〇(探索者達の名前を呼ぶ)、お嬢様の友として心よりお礼申し上げる。細やかかもしれないが、お礼を支払おう。どうか受け取ってもらいたい」


 その後、村長から100,000,000 円相当のお礼とを支払ってもらえます。

 また、一緒に探索者の数だけ『反転バッジ』を手渡されます。


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・反転バッジ

 致命的な失敗を奇跡的な成功に塗り替えることができるバッジ。

 装備している探索者がファンブルを出した場合、10%の確率でクリティカルに変えることができる。なお、このクリティカル判定では技能値を成長させることはできない。

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 ミロワール撃破後の村長とのイベントが終わったところで【MAIN SCENARIO:美人の島の魔法の鏡】はクリアとなります。エンディングはありませんので、他のクエストをこなすか、島から脱出するか、話し合って決めてください。

 なお、ここでシナリオをクリアしても、即座にセッションを終了することはできません。

 このイベント後、美白村の全施設が解禁されます。

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