18話 ジャグラー三銃士の激闘
イノシロウはジャグラー島に戻り、戦闘を開始した。
彼のマシンの番号は533番。
隣の親父のジャグラーが朝一にガックンをしないのを確認した際に
「この店は対策しているのか…」
と思いつつ、自身のマシンを起動させたところ
ブルルンっと動きだし安堵していた。
535番の前日のデータをチラリと確認し
「なんで横のやつはうなずきながら打っているんだ?」
「もしや、昨日は埋もれていただけなのか…」
パチンカス道を極めた535番台の不気味なオーラに背筋が震えたのだ。
しかし、イノシロウもまたジャグラープロである。
そんな彼の自信は揺るがない。
「横の親父には、調整のかかった俺のマシンと無調整のマシンの差をみせつけてやるか!」
と鼻息を荒くしながら、自身のマシンを激しく起動させるのであった。
まさるは感じていた自身の台の奥底に眠る鼓動を
「前日は全然出ていない。これは爆発間違いないな。」
「それにしても、横にきたアミバのコスプレ親父、そんなマシンを選ぶとか正気かよ…」
まさるはチラリと533番台の前日のデータに目を向けた。
BB 40 RB42 ゲーム数 7800
「前日にそんな爆発した状態じゃ、もう出るものも出ないやろ。」
まさるは呆れた顔をしながら自身のマシンを起動させる
「やれやれだぜ…北斗のコスプレをしてるみたいだし、ジャグラーに関しては素人なのかな?w」
「ここはいっちょ、ジャグラープロとして腕の差をみせつけてやるとするか。」
まるで自身の台を疑わない。
これこそがパチンカス道を極めた漢なのだ。
まさるは上着を脱ぎ、Tシャツ1枚のスタイルで鼻息を荒くしながらマシンの起動を続けた。
ヒゲさんは焦っていた。
ジャグラー島はあっという間に満台となり、猛者達は仕事道具であるカチカチ君を取り出し、自身のマシンの調子を確かめてるいるようだった。
しかし!
533番と535番台の二人だけはカチカチ君を取り出す素振りすら見せず、ひたすらマシンを稼働させ続けているではないか。
しかも…この二人…
ジャグラー島の誰よりも自信に満ちた姿であり、自身のマシンを一切疑っていない!
二人から感じるオーラ力、いや、もはや視認できるレベルではないか!
ヒゲさんは今までの経験からくる根拠を思い返していた…
そういえば…前回のイベントの時も据え置き、並びという具合のマシン調整がなされていた。
「でも、533番は見えなかったが、535番はガックンしてないよな…」
「もしかして、昨日は埋もれていただけで、高調整のマシンなのか…」
ヒゲさんは困惑していた。
確かな根拠を元に割り出した自身のマシンへの信頼が揺らぎ始めていたのだ。
その揺らぎは2人から溢れ出るオーラ力の影響なのかもしれない。
いつもなら揺るがぬ根拠を元に、自身のマシンがどのような調整であれ、ホールという戦場での戦いが終わるまで、マシンに魂を宿し勝利をもぎ取ってきたのだから。
そんな男の自信にヒビを与えるほど凄まじいオーラ力なのであろう。
ヒゲさんの自信を崩すもう一つの要因は、まさるの着ているTシャツにあったのかもしれない。
そのTシャツにはおそらく自身の顔がプリントされており、その下には大きく
【勝てばいいのだ!】
「舐めとんのか!」
いつもは冷静なヒゲさんも思わず突っ込まずにはいられなかった。
そんな恥ずかしいTシャツをホールに着て来れるなんて、ただものではない。
ヒゲさんは自身のマシンのデータをしっかりとカチカチ君で確かめながら稼働を続けるのであった。
戦場は熱気に包まれ、ニュータイプ達は自身のマシンへと呼びかける様に稼働を続ける
「おいおい…朝からご機嫌斜めなのは勘弁してくれよ…」
「昨日はだいぶやられたから、今日は返してくれよ」
「俺の台がNo.1に違いない!他のやつらは俺の養分になってくれ!」
「今日勝たないと、電気が止まる!」
ニュータイプ達のオーラ力が高まる中、ジャグラー三銃士達も、三者三様、それぞれがジャグラープロとしての自信を持ち、マシンは稼働を続けていた。
その時だった
ガコッ!!
まるでスラムダ⚪︎クの桜木のラストシューティングを彷彿とさせる音がホールに響いた。
先取点を決めたのは…
まさるであった。
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カチカチ君:小役のカウントを行うパチンカス必須の仕事道具
小役のカウントをすることでマシンの状態を推測していく
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