第3話
まぁ、俺達には関係無い事だな。 じゃあさっさと入り口を抜けて帰りますかね。 まだ若干頭が痛いし。
「お~い保、行くぞ~」
俺は人だかりを興味津々な様子で眺めている保に声を掛け大学の入り口から外に出ようとした。
「お、おう」
俺の呼び掛けに気付いた保が反応し動き出す。 すると人だかりの中心に居た美女が
「そ、その声は! す、すみません! 通して下さい!」
と言いながら人だかりを掻き分けながら俺達の方に小走りでやってきた。 そして
「やっと見つけました!」
と俺の服の袖を掴んで眩しい程の笑顔でそう言ってきた。
ん? 何だ何だ!? 何故いきなりこの女の子は俺の服の袖を掴んで来たんだ!? 俺にこんな可愛い知り合いなんて居ないんだが!?
「え、えっと……どちら様でしょうか? 人違いされているんじゃありませんか?」
「そんな酷いですよぅ!! 人違いなんかしていませんよぅ!! その素敵なお声は昨夜私を助けてくれたお方に絶対間違いありませんよぅ!!」
いきなりの事に困惑してそう訊ねた俺に、目の前に居る美女は喰い付き気味に捲し立ててきた。 お、おおぅ……。
ん? 昨夜? この子を助けた? 俺が? いつ? 記憶に無いんだけど?
そう、俺の昨夜の記憶は居酒屋を出た所迄しか無いのである。
「え、えっと…貴女みたいなお綺麗な女性を助けたのなら必ず憶えている筈なんですが、何分俺の記憶には無いので……やっぱり人違いだと思うのですが……」
絶世の美女に詰め寄られた俺はしどろもどろになりながらそう答えた。 すると目の前の美女は首が取れるんじゃないか位の勢いで首を横に振り
「いいえ!! 絶対に人違いじゃありません!! 貴方の素敵なお声もそうですし、貴方の特徴的で愛らしいお姿も私はしっかりと憶えています!」
……おいおい、それは俺の背丈が小さいと言いたいのか? 特徴的な姿って言われたらそう思わずにはいられないだろうが?
俺の目の前に居る美女は俺よりかなり高い背丈だ。 多分175cm有るか無いか位だろう。 って、自分の身長と比べて相手の身長が分かってしまうのが悲しい。 そんな特殊能力いらねーよ。
「貴方は昨夜、物凄く気持ち悪い男三人組に絡まれていた私を物凄く格好良く助けてくれました。 そして、貴方は名前も告げずに私の前から立ち去って行きました。 私、そんな貴方のお姿を見て一目惚れしてしまいました! だから私、貴方に会って告白する為に、必死に貴方の事を探し回って……やっと此処で貴方を見つける事ができました! 因みにこの大学に辿り着く迄に他の企業や学校を何十件も回りましたの。 いやぁ本当に大変でした」
……え? 其処までする? 随分と行動力のある女性だなぁ……。 若干だけど引いてしまったぞ?
「あの! もし差し支え無ければ貴方のお名前を教えて頂けませんか! お願い致します!」
彼女は " グイッ " と少し屈み気味な体制を取って自分の顔を俺の顔の近くに寄せてそう言ってきた。
ち、近い! 近いから!! 下手すりゃキ、キスする位の近さだよ!!
「わ、分かったから、は、離れてくれないか! か、顔の距離が ち、近いから!」
「あっ、こ、これは失礼致しました//////」
俺がそう指摘すると、彼女は恥ずかしそうに顔を赤く染めて離れてくれた。
「俺の名前は大和尊だ」
「尊様……////// 素敵なお名前//////」
今まで名前を素敵だと言われた事が無かったから若干恥ずかしいな。
「え、えっと、き、君の名前は?」
俺も彼女の名前を知らないので聞いてみたら、彼女は " はっ! " とした表情になり、慌てて
「そ、そうでした! 私、名前言って居ませんでしたよね。 私の名前は " ソフィア・アーカード " と申します。 出身はアメリカで、日本在住です。 これから末長く宜しくお願い致しますね尊様♡」
今アーカードさんは不審な発言をしなかったか? そう思った俺はアーカードさんに
「え、えっと…今さっき末長くって言わなかった? 末長くとは?」
と聞いてみた。
「はい! 尊様! 私と結婚を前提にお付き合いをして下さい! 宜しくお願い致します!」
と言いながらアーカードさんは深々と頭を下げながら俺に向かって右手を差し出してきた。
……え?
ここまで読んで頂きありがとうございます m(__)m
面白いと思われたら ♡ ☆評価 コメント レビュー等を頂けたら嬉しいです (* ̄∇ ̄*)
今後とも拙作を宜しくお願い致します (。-人-。)
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