第2話

……頭痛い。


ベッドから起き上がった俺は思わず頭を抱えてしまう。 どうやら昨夜の大量に呑んだビールのお陰でキツイ二日酔いになっているみたいだ。


……それはそうと、俺はいつベッドに入って寝たんだろう? 昨夜の記憶が余り無い。 確か居酒屋を出た所迄は憶えているんだけど。 良く無事にアパートに帰ってベッドに入れたものだな。


……今日も大学の講義が一限から入っている。 単位は落とせないからどんなに頭が痛くても大学に講義を受けに行かなくちゃな。 それこそ這ってでも。


俺は痛い頭を抱えながらベッドから抜け出て洗面所へ向かう。 冷たい水で顔を洗えば少しは二日酔いが抜けるんじゃないだろうか?


冷たい水で顔を洗った結果……二日酔いは抜けませんでした。 頭痛いままですわ。


……流石に食欲は無いので朝食は食べない方向で。


のらりくらりと着替えていると、俺のスマホからアラーム音がけたたましく鳴り響く。 このアラーム音は講義が始まる1時間前に鳴る音だ。


……やべぇ!! 早くしないと一限目の講義に遅れる!!


慌てて大学に行く準備をし玄関を飛び出る。 俺が住んでいるアパートから大学まで約40分は掛かる。 本当急がないと講義に間に合わない。


……こんな時原付でも持ってればなぁとしみじみ思う俺だった。 まぁ免許無いんだけどね。



ギリギリ講義に間に合った俺。 教室の中に息を切らせて滑り込むと、教室の奥の席から


「尊~! こっちだこっち!」


と大きな声が聞こえてきた。 二日酔いで頭痛いんだから大きな声で呼ぶのは止めてくれ!!


大きな声で俺の名前を呼ぶ奴の名前は " 宮下保みやしたたもつ " 俺の昔からのダチだ。


保も同じ教育学部で、同じ先生に憧れて大学に入学した。保も大学に入学出来る学力は無かったが、俺と同じ先生に勉強を教えて貰い(保も俺とは別々に)無事入学出来たんだ。


思えば先生、俺達馬鹿二人を教えるの苦労したんじゃないかな。 本当に " ごめんなさい " と " ありがとうございます " だ。


「お?どうした尊? 顔色悪いぞ?」


「二日酔いなんだよ。大きな声は止めてくれ」


「珍しいな? 尊が二日酔いだなんて。 何か有ったのか?」


保が心配そうに訊ねてきた。


「ああ。あの女に告白してこっ酷く振られた。だからやけ酒して二日酔いという訳だ」


保も俺をこっ酷く振った女の事は知っている。 


俺は保にあの女に告白する事を相談した。その時保からは " 止めとけ。録な事にならないから " と止められたんだが、俺は保の助言を聞かずに告白をして振られたのだ。


「だから言っただろう? あの女、悪い噂しか聞かなかったからな」


「告白する前にその情報教えて欲しかったぜ」


「散々教えたが? 聞かなかったお前が悪い」


「……サーセン」


俺は保に頭を下げて謝った。 そして保の隣の席に座り講義を受けた。






講義終了後


「しかし尊よぅ。俺達よく大学に受かる事が出来たよなぁ」


「本当だよ。先生には本当に感謝だよな」


「本当それな。 高校時代は俺と尊は荒れてたからなぁ」


「それな。 高校時代俺は " 赤鬼 " お前は " 青鬼 " って呼ばれていた位悪かったからな」


みたいな話をしながら俺と保は昔を思い出していた。


高校時代 俺と保はそれはもう手の付けられない程の不良だった。 俺は頭を赤く染めていたし、保は頭を青く染めていた。 二人とも腕っぷしは物凄く強く、喧嘩では負け無しだった。 だから俺と保は周りから赤鬼と青鬼と呼ばれていた。


俺と保は大人が信じられなかった。 どいつもこいつも嘘ばかり吐きやがる。信用出来なかった。


しかし、先生だけは親身になって俺達と真剣に向き合ってくれた。 だから俺と保は先生の事だけは信用して慕っていた。


ある日先生に真剣に大学受験を勧められ、俺と保はその気になり不良を辞めて先生の元で勉強に打ち込んだ。 そして努力の結果、俺と保は大学に入学する事が出来たんだ。




「なぁ保、今度先生に会いに行かないか?」


「おっ、良いねぇ。菓子折りでも持って行こうか」


「バイト代が出たから奮発して高級な菓子買って行こう」


「よし!決まりだな!」



俺と保はそんな話をして笑い合った。





今日の講義も全部無事終了し、俺と保は帰る為に大学のキャンパス内を歩いていた。


すると、大学入り口近くに物凄い人だかりが出来ていた。 何だろう? テレビの取材でも来てるのかな?


そんな事を思いながらその人だかりの横を通り過ぎようとした時、俺の視界の先にその人だかりの中心が写った。


そこには、この世の物とは思えない程の絶世の美女が居て、何かを探す様にキョロキョロと辺りを見回していた。


その美女はもしここの大学の学生なら存在は知っていてもおかしくない程の存在感を全身から醸し出していた。 が、見た事が無いからここの大学の学生では無いのだろう。


一体何を探しているのかな?





ここまで読んで頂きありがとうございます m(__)m


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今後とも拙作を宜しくお願い致します (。-人-。)










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底辺の俺 大人気の彼女に惚れられる  " 別ば~じょん " 猫之丞 @Nekonozyo

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