第6話 ご飯より緊急会議! 【リメイク版】

※注意 これからは鮎美さんの視点でお話が進みます。






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「ご飯食べに行ってる場合じゃないわ!」




私は隣に座る優紀にそう話した。だけど意味がわからないのか「?」みたいな顔をしている。


これはある意味チャンス!




「コンビニに寄ってお菓子を買って優紀の家で緊急会議よ!」




「緊急会議!何それ?って何で俺んち?それもお菓子?飯は?」




やっぱりいつもの優紀と違う。私を部屋に入れる事に抵抗しない。


結構前に部屋に入れて貰った時に嬉しいのもあってはしゃぎすぎて、部屋の私服から小物まで全部出して部屋を荒らしてしまった。それから私は出禁に近い感じになっていた。




チャンス!はっ、このチャンスなら私じゃなくて金田も夢の優紀の部屋に入れるかも。


どんなに男の中で1番仲がいいとは言っても金田も優紀の部屋には未だに入った事は無い。


金田なら理性が維持できると思うし、私もいるから大丈夫でしょ。


でも新崎は無理!絶対ダメ!


部屋に入るなんて事を経験させたら、今まで女神姫と敬っていたのが身近に感じて何をするかわからない。


アイツは今みたく女神姫として敬って距離を置いておく方がいいと思う。




「金田も呼ぶわ。いいわよね?」




「え?金田。呼ぶって近くにいんの?」




「えぇ、多分呼んだら5分で来ると思うわ。」




「早っ!何でアイツ仕事は?」




「仕事?もしかして金田の仕事も忘れたの?」




「え?仕事って美容師になるって学校に行ってるんじゃないの?見た目ワイルドなのに細かい事好きだし揃えて纏めてアレンジしてって好きだから、天職だ!とか言ってたけど。」




金田の事どんな設定になってるの?性格はそのまんまだからありえそうだけど。




「何それ?まぁ、金田の性格はその通りだけど…………金田、今年自分で会社作ったわよ。企画制作会社。高校3年間必死になって【姫の為!って】パソコンの事勉強してさ。」




「はぁーーーーーーーー!えぇーーー?逆に何それ?じゃアイツ社長なの?」




「まぁ社長なんだろうけど、社員もまだ一人もいないし実家の部屋が仕事場だし。」




「はぁーーーー!そんなんで喰って行けるのかよ?心配なってきた。大丈夫かよ。」




「まぁ大丈夫なのは確かよ。【姫の企画である程度儲かっているみたいだしね。】」




そんな話をしながら運転していた私はコンビニを見つけ駐車場に停めた。


店に入りカゴにドカドカとお菓子と飲み物を入れた。優紀は揚げ物が気になった様でレジで頼んでいた。


車に戻り私は携帯を取り出した。




「じゃ金田に連絡するわよ。」




「あぁ、いいよ。でも本当にすぐ来るのアイツ?」




「間違いなく来るわ。」




「マジ?どんだけ近くにいんの?………………………………もしかしてあの車とか?」




そう言って優紀が指差した方向を私も見ると…………………………………………いた!




「………………………………偶然ね。【近づきすぎだって!】」




内心でため息を吐いてから私は呼びに行く為に車を降りた。


ここでも優紀は意外な行動に出た。




以前、優紀が言っていた。


「お父さんが小さい頃に亡くなったせいかな?私、男の人と接するの苦手……………………鮎美は凄いよね、沢山男の人の友達がいて少し羨ましいな~。」


友達ってほぼみんな優紀のファンクラブの会員なんだけどね。




そんな事を言っていた彼女が今、自分から金田に向かっている。


いつもなら自分で男に近づいてなんて行かない。なのに今は自分から金田の車に向かって歩いている。凄い!




私達二人は金田の車の運転席の横に移動した。勿論ナンバーを確認したから金田の車で間違いない。


スモークを張っているから外からだと金田の表情はわからないけど、多分焦っているだろうな。(笑)


窓をコンコンと叩くと素直に窓が下りた。




「よ、よう。…………ぐ、…………偶然だな。」




「そうね……………………ちょうど金田に電話しようと思ってたら偶然車を見つけてそれで来たわ。」




「お、俺に?」




「そう。ちょっと「金田~~久しぶり~~~。わっかいな~髪もあるし、何?お前今社長なんだって?何で急にパソコンに目覚めてんだよ~。」」




って優紀!何?いきなり金田の頭をわしゃわしゃして楽しそうに…………ほら!金田もビックリして唖然としてるじゃない。




「ちょっとやめなさいって優紀!金田もビックリしてるから。それで金田。………………………………ちょっと聞いてる?こっち向きなさいって!…………そう、そう何も言わなくていいから聞いて。わかってる!わかってるから!見てわかる様にいつもの優紀じゃないでしょ?それについて緊急会議を優紀の部屋で開くから付いてきて。あ~もうわかってる。何も言わなくていいから私の車について来て、いいわね?」




無理やりに金田を頷かせた。


そしてまだ金田にちょっかいを掛けたそうにしている優紀を引っ張って私達は車に戻った。




「優紀!いきなり何やってるのよ!金田固まってたわよ?」




「いや~~~久しぶりに会ったからさ。2年ぶりかな?電話でしか連絡取ってなかったからさ。それに見た?アイツまだ禿げてないしよ、懐かしくて。」




優紀の作った設定の未来では金田は禿ているみたい。そー言えば禿そうなおでこに見えるかも……………………って今は金田の禿の事はいいから!




「ほら、優紀の家に行くよ。いい?」




「了解~~」




ゆっくりとバックミラーを見ながらコンビニの駐車場を出た。よし、ちゃんと金田の車ついてきてるな。




隣に座る優紀を見ると、今までのテンションと違って楽しそうな優紀。ここまで変わるなんてどんだけ自己暗示凄いんだろ?本当に大丈夫?




それからすぐに優紀の家に着いた。


家の前の広場には優紀のお母さんの車と優紀の赤い新車が停まっていた。


私のは中古のレビンだからちょっと羨ましい。




後ろを見ると金田もちゃんとついて来ていた。


無事に車を停めて降りる。出禁になってから1年ちょっとぶりに優紀の部屋入れる。前とはどんな風に変わっているのかな?楽しみ!




「さ~て着いたわ、ほら優紀が先に行ってよ。私が先に行ったらおかしいでしょ?」




「了解~~。母さんも帰って来てるみたいだけど、いきなりで驚くかな?まっいっか。……………………って金田は?」




え?金田の車を振り返って見ると……………………何で降りて来ないのよ!


手を振って呼んでみたけど降りてこない……………………あっやっと降りてきた。全く何やってるのよ!




「ほら、早く何やってるのよ!」




「…………い、いや……………………マジでいいの?」




「優紀本人も良いって言ってんだからいいの!ねっ優紀良いよね?」




「ん?良いよ。って逆に何を気にしてんの?うちの母さんなら別に怖くないよ?」




あぁーーーもう。そう言う事じゃないんだけど、まっいいか。


私は金田を無理やり後ろから押して優紀の後ろに付いて家に入って行った。

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願いを叶えて貰えたけど駄目神様で勝手にTSされちゃった俺。どうなる? @kurohanapapa

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