第5話 携帯電話を買いました。ついでにボロ出ました。 【リメイク版】

鮎美の運転で向かった場所はやはり俺の覚えている住所ではなく違う場所だった。移転前はここにあったのかと思った。




そして無事に携帯電話の会社に着いたのだが駐車場が4台分しかなく満車だった。どうするって鮎美に話掛けようと思ったらちょうど良く車が出て停める事が出来た。ラッキー!




しかし…………小さいなこの店。こんなんだっけ?未来では移転した場所にある建物はこの3倍は広いと思う。


中に入ってみたが店員も2人しかいないようだ。




そして……………………店頭に並んでいる携帯はどれもガラケーで古い。違いがあるのだろうがどれも同じに見えてしまう。これから選べと?




悩むのも無駄と思い鮎美の携帯の色違いの白を買う事にした。


店に入って3分もせずカウンターに持って行く俺。




「いいのそれで?決めてたの?」




「…………うん。」【いえ、今決めました。】




それから契約書を書いたりと未来では信じられない程の時間が掛かった。




一括現金払いにしようとお金を下ろしてきたのだが、隣に鮎美がいるので出しにくくて結局月々払いにした。書きながら説明を聞いていて思い出した。未来では携帯の中のカードを入れ替えればすぐに使えるのに昔は開通させるまで時間が掛かったんだった。それに番号も好きな番号を選ぶのではなく、3つほどの候補から選ぶんだった。仕方なく3つの候補の中から語路の良さげな番号を鮎美と二人で選んだ。末尾が6274ムツナシだ。特に意味はなし。【しかし、まさか店員も仕組まれていたとは知らなかった。ポケベルでの読み方は『姫』だった。】




結局この日は開通の時間が閉店時間後になると言われ結局携帯電話を買ったけど持ち帰る事は出来なかった。明日会社帰りに受け取る約束をして店から出た。残念。




「…………番号決まったね。勿論私の携帯に登録していいよね?」




「…………え?あっ、勿論。」




「え?って何よ?教える気なかったの?」




「いやそんなんじゃなくて登録って事に驚いただけで…………」


【女性から登録したいとか言われた事ないだけですから!】




「あぁーもしかして登録とか聞きなれてないからかな?」




「そ、そうかも。」




なんとかまた話を合わせて乗り切った。絶対いつかボロが出そうだ。


そんな危機感を持ちながらも次の店に向かった。




どこに行くんだろう?そんな風に思いながら外の景色を見ていたら鮎美から昨日の事を聞かれた。




「昨日はどうしたの?なんか女としての生き方がどうとか言ってたけど?」




「え?え~とブラを買いに行ったんだけどサイズが……………………「えーーーまた大きくなったの?」」




また?どういう事?




「それとも太った?」




いやそれもわからないから!以前の体重もだけど今の体重さえ知らないから!




「ん~~太ったのかはわからないけど下乳が痛くて買いに行ったんだけど思った以上にお金使っちゃって。」




「そっか~。いつも私が一緒に買い物に行って選んでるから値段見ないで買っちゃったか~」




「…………うん。」【あの服達を選んだ人、ここにいました。】




何を納得したのかわからないけど、それ以上の追求はなかった。


そして話題は変わり今日買った携帯の番号を金田と新崎に教えるのか聞かれた。


あぁーそこは俺の知ってる過去と同じで、二人は親友のままだった。良かった。


あいつらとは未来の38歳になっても連絡のやり取りをしていた親友だ。


未来ではどちらも結婚していて独身は俺だけだったけど。




「あぁ、勿論あいつらには教えるつもりだよ。」




「え?あいつら?」




え?何か言い方悪かったかな?




「いや、悪い感じで言ったんじゃなくて……親友だから。」




何か怪しむ様な目でこちらを見てくる鮎美にたじろいでしまった。




「ねぇ?優紀…………頭とか何処かにぶつけてないわよね?この前まで『金田君』、『新崎君』呼びだったのに急に『あいつら』って呼んだりおかしくない?」




なんて答えればいいのかわからず無言でいた。




「この前まで私の事、何て呼んでたか覚えてる?」




うわっ!もしかして違ったの?え?鮎美さん?鮎美ちゃん?




「………………………………鮎美ちゃん?」




「ブッブー!正解は鮎美でした。……………………さてこれはどういう事なのか詳しく説明して貰おうかな?」




って引っ掛けかよ!今の呼び方のままじゃんかよ!


ってか言っても信じないよな~どうしよう。




「い、言っても信じないかもしれないけど、その…………朝起きたら記憶があまり無くて…………男だった記憶しか無くて未来で営業をしてた38歳から過去に戻って来たみたいな……………………なぜか神様が美少女にしたみたいな。」




無言で考えてる鮎美。


静かな時間が過ぎて行く、俺には重く長く感じた。




「わかった。優紀の事信じるよ。」




「えぇーーーーーーーーーーーー!!!今ので信じるとかないでしょ?」




素で突っ込みを入れていた。




「何を根拠に信じた?自分で言ってるけど支離滅裂で病院行けばってレベルの話じゃね?」




「そう、その口調にその言い方。仕草も全然違うし今までの優紀はそんな男みたいな言い方もしない。もっとお嬢様みたいだったもの。でも私の事も知っているみたいだし、金田や新崎の事も知っているし別人が乗り移った訳でもないみたいだし………………………………それで分かったの。」




「何を?」




「優紀あなた自己暗示みたく自分を作ったのよ。この前あなた言ってたもの『私にあの仕事本当に出来るかな?男だったらあの仕事も普通に出来そうなのにな~』って」




「はぁ?」【意味がわかりませんが?】




「それで女である事の記憶を無理やり忘れたのよ!でも忘れすぎ!これからは私が教えて思い出させてあげる。あなたはお姫様みたいに生きるの…………いえそう生きて!」




「はい?」【生きて!?】




唖然としていた俺。




「わかった?!!!」




かなりの強い口調に俺は流れで大きな声で返事をした。いやしてしまった。




「はい!」




なんかよくわからないけど、これから助けて貰えそう?どうなるんだこれから?

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