3・謝らないで

第6話


 それからしばらく、私は何度も夫への制裁を考えては諦めての堂々巡りを繰り返した。

 インターネットで法律相談のページなど読んでみたけれど、風俗店の種類とか回数・頻度によって慰謝料の額は異なるらしい。

 そもそも彼からお金を巻き上げたい訳ではないし認識を改めて欲しいだけ、ただ少し痛い目には遭って欲しいかなと…妻としてはそう思ったりもした。



「ねぇ、もし旦那さんが夜のお店とか通ってたらどうする?」

職場にて、私は失礼と思いながらも同年代の既婚者に尋ねてみる。

「えー、許せへんけど……でもうちがお腹大きい時とか、実家に帰省してる間とかにエッチなマッサージ行ったのは知ってる」

「えぇ…知ってても許せる?」

「腹は立つけどな。スッキリしたいねんて、それで真面目に働いて子供可愛がってくれんねやったらええよ。腹は立つけどな」

「そっか…」


 主食とデザート的なことなんだろうか。

 確かに息抜きで家庭が上手くいくならその方が賢いやり方なのかな、病気さえ貰わなければバレずに円満なままだったんだものな。


 考えては夫に許した体がむず痒くて鳥肌が立つ。

 仕返しはしたいできれば同じ目に遭わせたい、けれど私が浮気をしてしまっては彼と同じ所まで落ちてしまうし何より不貞は社会的に宜しくない。


「んー………あ、ホストクラブ」


 安直に男性と遊べる所で思いついたのはそんなところ、私は独身の友人に頼んで近々行ってみることにした。

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