妄想ミステリー⑫

第4話 ベンの家の謎

　舞台は、神戸の異人館村から少し離れた郊外にある「ベンの家」。この古びた屋敷は、かつて一人の名もなき商人が所有していたと伝えられ、現在はほとんど人が住んでいない。家は奇妙な作りをしており、内部には数々の隠し部屋や秘密の通路が存在していた。地元では「ベンの家」という名前で知られており、その由来を知る者はほとんどいない。

久保田幸男（堂本剛）は、異人館村での事件解決後、ふとしたことからベンの家に関する奇妙な噂を耳にする。その噂とは、この屋敷に住んでいた若者ベン（山田涼介）が、数年前に謎の死を遂げたというものだった。ベンの死因は不明で、警察は事故死として処理していたが、周囲の人々は彼が何かに追われていたかのような言動をしていたと語り継いでいた。

久保田は、ベンの死がただの事故ではない可能性を感じ取る。何か大きな秘密が隠されているに違いない。そこで、久保田はベンの家に足を運ぶことを決意する。

ベンの家の不気味な雰囲気

久保田がベンの家に到着すると、そこには何とも言えぬ不気味な雰囲気が漂っていた。屋敷は長い間手入れがされておらず、草木が生い茂り、窓ガラスは曇り、まるで時が止まったかのような空気が漂っている。しかし、屋敷の中に一歩踏み込むと、どこか懐かしく感じる温かい空気もあった。久保田は、ベンがこの屋敷に住んでいた当時に何が起きていたのかを確かめるべく、まずは屋敷内を調べることにする。

屋敷の中にはベンが書いたと思われる日記やメモが散らばっており、久保田はそれらを慎重に読み解く。日記の中には、ベンが数年前に奇妙な人物から脅迫されていたことが記されていた。その人物は、ベンがかつて家族で取り扱っていた「古代の遺物」に関わる何かを知っているようだった。ベンはその遺物を守ろうと必死に隠していたらしく、屋敷内に秘密の部屋があることが示唆されていた。

久保田は、屋敷の奥にある隠し部屋を発見する。部屋の中には、金属製の箱が一つ置かれていた。その箱を開けると、中には一枚の古びた絵画と、それに付随する手紙が見つかる。手紙には「君が守らなければならないのは、ただの絵画ではない。何も知らぬままでいれば、君の命も守られるだろう」と記されていた。

ベンの家に潜む謎の人物

久保田はその手紙を手に取り、屋敷をさらに調べることにする。その際、屋敷内で奇妙な音を耳にし、何者かが屋敷内を歩き回っていることに気づく。久保田はすぐに追跡を始め、隠し部屋から出て、屋敷内を慎重に歩く。すると、屋敷の地下へ続く階段を発見する。地下室に降りてみると、そこには多くの古い道具や未開封の箱が積まれており、その中に奇妙な装置が混じっていた。

その装置は、どう見ても古代の機械にしか見えなかった。久保田はその装置を慎重に調べてみると、箱の中にあった絵画と何らかの関係があることが分かる。絵画には、特定の角度から見ると隠されたメッセージが浮かび上がる仕掛けがされていた。

久保田はそのメッセージを解読し、ベンの家がただの屋敷ではなく、古代の遺物を守るための「保管庫」だったことを突き止める。その遺物が何であるかは分からないが、どうやらそれには非常に大きな力が秘められているらしい。

ベンの死の真相

久保田は、ベンが命を狙われていた理由をさらに探るため、ベンと最後に接触していた人物を調べることにする。調査の結果、ベンの死にはある秘密組織が関わっていたことが分かる。その組織は、「時を操る者たち」と呼ばれ、世界中で古代の遺物を集め、その力を手に入れようとしていたという。

久保田は、組織がベンの家に隠されていた遺物を狙っていたことを確信する。ベンはその遺物を守るため、命を懸けて戦っていたが、最終的に命を落としてしまったのだ。組織はベンを殺し、その遺物を手に入れようとしたが、何かの手違いで遺物は依然として屋敷に隠されたままであった。

久保田はその遺物を組織の手に渡らせないため、速やかに警察に通報し、屋敷を封鎖することにする。組織のメンバーが屋敷に潜入しようとするが、久保田はそのすべてを阻止する。

事件の結末

最終的に、ベンが命を懸けて守ろうとした遺物は、久保田によって警察に引き渡され、組織の手に落ちることはなかった。しかし、ベンの死は単なる偶然ではなく、深い陰謀に巻き込まれていたことが明らかになった。

久保田は再びその謎を解き明かし、ベンが守り抜いた遺物の存在を世に知られることなく保たれることとなった。ベンの家は今後、遺物を守るための場所として、慎重に管理されることとなる。

事件が解決した後、久保田は一人静かにベンの家を後にする。屋敷は再び静けさを取り戻し、時の流れに逆らうかのように、遠くの街並みが霞んで見えるのだった。

終わり