第43話 魔王からの下知じゃ! (4)

 しかし二人のニャン達は、自身の腕を組み、戯れる儂ら四人を呆れ顔で見下ろしながら。


「アーシが好きなのは仲穎だけ、だから嫌で御座います」

「うちも張繡先輩と同じく、上田先輩しか、これ以上は嫌だし」

「董卓閣下、そろそろ、アーシらにデブ仲を返してくれませんか?」

「張繡先輩と同じくです。はい。だから閣下は早く上田のおデブちゃん先輩に代わってください。おねがいします」


 儂に早く上田仲穎デブに戻れと急かすから「李儒」と。儂の代わりに君主代行している奴へと声を掛けた。


「何ですか、閣下?」


 儂が李儒の奴へと声を掛ければ直ぐに声を返してくれたから。


「儂はそろそろ上田仲穎デブに戻った方が良いかの?」


 王允の熟れた肢体を乳くりながら、ニヤリと笑い尋ねてみた。


「ええ、張繡や樊稠の言う通りで、そろそろ仲穎君にお戻りしてください。でッ、ないと。わたくし達も今後の話が出来ませんから」


「そうか?」

「はい、そうです」


 でも儂の軍師様は呆れ顔で早く上田仲穎デブに戻れと冷たく告げてくるから。


「うむ、分かった!」


 儂は奴の言葉に頷き、李儒の提案を了承する事に決めた。


 だから李儒の奴にニヤリと微笑みながら「李儒」とまた声を掛ける。


「何ですか、閣下?」


 奴は相変わらず不機嫌極まりない様子でいるけれど儂は構わず李儒の奴へと。


「儂は上田仲穎デブに戻るのは構わんが、どうしても心残りがある。だから李儒、儂の心残りを貴様が叶えてくれぬか?」尋ねてみた。


「……ん? 閣下の心残り? 一体何ですか?」


 李儒の奴は自分の腕を組み、不機嫌そうな様子だった自分を穏やかなものへと変え、首を可愛く傾げ儂へと言葉を返してきた。


 そんな可愛く、麗しい、黒髪が良く似合うニャンへと儂は自分の口を開いて。


「儂が上田仲穎デブに戻る前に一回やらしてくれぬか、李儒? お前の乱れる様子を見てみたのじゃ。頼む李儒」と儂は真剣に嘆願した。


 しかし李儒の奴はお約束と言う奴かのぅ~? 儂の頼み事に対して、自分の首を振り。


「……先程も閣下に申しましたが。いくら彼を幼い頃から虐めてきたとしてもわたくしが心に想うのは仲穎君だけですから。他の人とは交わる気は一切御座いません! それよりも早く仲穎君にお戻りください、閣下! さぁ、早く!」


 今度は憤怒しながら罵声を吐いてきたから。


「そ、そうか、やはり駄目か……。李儒や弁、協……。その他の者達も結構貞操が固いの、あっ、はははははは」


 儂は李儒やその他の者達へと笑い誤魔化す。


 でッ、言葉が終われば儂は、「李儒、後は頼むの……。そして皆元気でな……」と儂の周りに集うニャン達へと告げると。


「牛輔と李傕、郭汜の三人はもう少ししっかりとしろ分かったな?」


 儂は呆然と佇み、皆の会話だけ聞いていた三人の事を諫める。


「えっ!」

「あっ!」

「はい」

「分かりました」

「閣下さようなら」

「またです」


 三人は儂へと別れを告げてきた。


 だから儂は皆へと「それじゃ、帰るとするか……。皆後は頼むぞ……」と告げると。儂は意識が朦朧……。また上田仲穎デブの心の奥底へと帰還した。






 ◇◇◇








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