第39話 劉家の双子(4)

 李儒の冷たい瞳に対して協の奴が憶測だけで判断するなと。李儒の鋭い眼光を跳ね返して、前世の漢の最後の霊帝らしく威厳に満ちた態度を示す。


「……他校の領主も知らない者も多いい筈ですよ、李儒さん」


 劉協と睨み合いを始めだした李儒に対して王允が穏やかに説明をした。


「王允校長、それは誠ですか?」


 睨み合いを続けている李儒と劉協の二人は放置して牛輔の奴が王允へと尋ねた。


「ええ、間違えないと思いますよ。実際貴方達は他校と争い、一度も他界をした者は出ていない筈ですから。そうでしょう、李儒さん?」


 牛輔に説明をした王允は視線を変え、協と睨み合いを続けている李儒へと話しかけ尋ねた。


「えっ! あっ、はい……。王允校長先生の言われる通りで……。未だ他界して躯になった者の話や報告は、わたくしの耳には入っていません」


 王允の問い掛けに対して李儒は驚嘆をして、その後は言われてみればと言った顔をしながら答える。


「……ならば李儒さん、この学園の領主代行生徒会長として、いくら閣下の件で姫殿下御二人に対して不満があろうとも。臣下の身で理事長の御二人へと悪態をつくのはあってはならないこですから。ちゃんと御二人へと謝罪をしなさい。李儒さん分かりましたね?」


 王允は李儒へと誤解が解けたのだから劉弁と劉協の二人に頭を下げろと告げる。


「……両殿下申し訳御座いませんでした……。わたくしの早とちり、勘違いで御座いました……。お許しください。申し訳御座いません……」


 王允の指示に対して前世とは打って変わって李儒の奴は素直に指示を聞き、劉家の双子……。魔物精霊へと頭を下げた。


 だから儂は自分の軍師……。この儂を次世代の皇帝天下人へとしようとして、色々な策を練った黒の宰相の変わりように驚愕するのだった。



 ◇◇◇




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る