ドリル無双。

第16話

私たちが次に部屋に進むと、彼女は冷ややかな笑みを浮かべて待っていた。

その表情は、私たちを見下すような余裕を感じさせる。

彼女の周囲には水の魔力が渦巻き、まるで彼女自身が水の精霊のように見えた。

「私の名はウナ。水を操る四天王よ。君たちに私の恐ろしさ、そして世界の残酷さを見せてあげるわ」

彼女の声が響き渡ると、周囲の水が一瞬にして集まり、

彼女の手元で巨大な水の塊が形成されていく。

その光景は美しいが、同時に恐ろしい威圧感を放っていた。

「さあ、召し上がれ！」

ウナが手を振り上げると、塊となった水が私たちに向かって襲いかかってくる。

私たちはその動きに合わせて避けようとするが、予想以上の速度で迫ってきた。

「テト、気を付けて！」

リンの声が聞こえるが、私はすぐに判断を下す。

周囲の水の動きを見極め、先手を取る必要がある。

「ドリル！行け！」

私はドリルを構え、水の塊に突進する。

ドリルが水の中に突き刺さると、周囲の水が渦を巻き、私を飲み込もうとしてくる。

「私が飲み込まれるものか！」

全力でドリルを回転させ、水を切り裂く。

周囲の水が弾け飛び、私はその隙にウナに向かって進む。

「なかなかやるな！」

ウナは私の攻撃を避け、再び水の力を使って水の壁を作り上げる。

その壁は硬く、私の攻撃を弾いてしまった。

「その程度では、私を倒せないわ！」

彼女の言葉と共に、水の壁が私に向かって圧縮され、巨大な水の刃が生まれる。

それが私の方に向かって飛んでくる。

「避けろ！」

レンが叫ぶ。私たちはその場から跳び退くが、

瞬時に水の刃が飛んできて、私たちの周囲をかすめていく。

「これが私の力。水を自在に操ることで、君たちを追い詰めるのよ！」

ウナは自信満々に宣言する。その目には、私たちを倒すという決意が見える。

「リン、魔法を！」

私が叫ぶと、リンは力を振り絞って魔法を唱える。

彼女の周りに魔法の光が集まり、強力な炎の弾が生まれる。

「ファイアボール！」

炎の弾がウナに向かって放たれる。

ウナは水の壁で防ごうとするが、魔法の力に押し切られ、壁が崩れ落ちていく。

「うっ、くっ、こんな攻撃が！」

ウナの表情に驚きが浮かぶ。

私たちの連携が、彼女に対して一定の効果を持っていることを実感する。

「今だ、行くぞ！」

私は再びドリルを構え、ウナに向かって突進する。

彼女は再び水を操ろうとするが、私はその動きを見切って、素早く攻撃を仕掛けた。

「ドリルキック！」

私のドリルがウナの肩を捉え、彼女はよろめく。

その瞬間、リンとレンも同時に攻撃を仕掛ける。

「ファイアボール、再び！」

リンが新たに魔法を放つと、レンもを振り下ろして攻撃する。

「しまった、まだ終わっていないわ！」

ウナは痛みを堪えながら立ち上がり、再び水を集める。

「私を、侮るな！」

彼女が叫ぶと、水の壁から無数の水の刃が生まれ、私たちに向かって飛んでくる。

「全員、分かれろ！」

私が叫ぶと、仲間たちはそれぞれの方向に散り、攻撃を避ける。

水の刃は周囲の壁を切り裂き、私たちの周りに強烈な音を立てて当たる。

「くっ、どうすれば！」

私は焦りが募る。ウナの力は、想像以上に強大だ。だが、私たちはここで諦めるわけにはいかない。

「テト、私に力を貸して！」

レンが叫ぶ。彼の言葉に、私の心は奮い立つ。彼もまた、戦いの中で一緒に頑張っている仲間だ。

「リン、私たちの力を合わせよう！」

私は仲間たちに向かって声をかけ、全力を尽くすことを決意する。

周囲の水が渦を巻く中、私たちの心が一つになる。

「いくぞ！ドリルファイアー！」

私が叫ぶと、ドリルに炎を纏わせ、ウナに向かって突進する。

リンも同時に魔法の光を集め、強力な火の弾をウナに放つ。

「一緒に行くぞ！」

レンも剣を振り上げ、ウナに向かって駆け出す。

ウナは驚き、周囲の水を盾にしようとするが、

私たちの攻撃が同時に彼女に襲いかかる。

「この、バカな！」

ウナは力を込めて水の壁を作り上げようとするが、私の攻撃がその隙を突く。

ドリルと火の弾が彼女の肩に直撃し、ついに彼女は膝をついた。

「これが、私たちの力だ！」

私の心に勝利の兆しが宿る。しかし、ウナはまだ諦めてはいない。

彼女は痛みを堪えながら立ち上がり、再び水を集める。

「私を、侮るな！」

ウナの声が響く。彼女は周囲の水を集め、巨大な水の竜を形成する。

それは彼女の全力の一撃で、私たちに向かって迫ってくる。

「気を付けろ！」

私は叫び、仲間たちに警戒を促すが、ウナはそのまま水の竜を放つ。

竜は私たちに向かって急速に迫り、恐ろしい圧力が周囲を包み込む。

「これが、私の力の本当の姿なのよ！」

ウナの声が響く。私たちはその迫力に圧倒され、一瞬固まってしまった。

「逃げろ！」

レンが叫ぶと、私たちは急いで避ける。

しかし、水の竜は思ったよりも早く、私たちを捕まえようとしてくる。

「ドリル、行け！」

私は最後の力を振り絞ってドリルを構え、竜の中心に向かって突進する。

ドリルが水の竜に触れた瞬間、竜が崩れ去り、周囲の水が爆発的に飛び散る。

やはりこのドリル…チートである。

「やった……！」

一瞬の静寂が訪れ、私たちはその隙を突いてウナに向かう。

「まだ、終わりではないわ！」

ウナは血まみれで倒れ込んでいたが、彼女は立ち上がろうとする。

その姿に、私たちは容赦なく攻撃を続けた。

「ドリルファイアー！」

私は再び叫び、仲間たちと一緒に攻撃を繰り出す。

ウナは最期の力を振り絞り、水の壁を作ろうとするが、

その瞬間、私たちの攻撃が彼女を捕らえた。

「これで、終わりだ！！」

私の言葉が響くと同時に、ドリルと魔法の炎が彼女を包み込む。

ウナの周囲で水の壁が崩れ、彼女はついにその場に倒れ込んだ。

「うっ……、くっ……」

ウナの声は弱々しく、彼女の目には敗北の色が浮かんでいた。

しかし、彼女はまだその表情を崩さない。

私たちの前に彼女が倒れたことで、勝利を手に入れたと実感する一方で、

彼女が持っていた力の恐ろしさを思い知る。

「これが……私の力……」

ウナは息を荒くしながら、私たちに向けて目を向ける。

その眼差しは、まだどこか挑戦的だった。彼女の言葉に対して、私はただ頷く。

彼女が負けても、その影響力は消えない。

この戦いで学んだことを忘れずに、

次の四天王との戦いに挑む準備をしなければならない。

「ウナ、もう終わりだ。君の力は素晴らしかった」

レンが静かに言った。彼は戦いの疲れを感じているようだったが、

同時にウナの力を認めているようだった。

「次に会ったときは、もっと強くなっているからな…」

ウナの最後の言葉は、私たちに警戒を促すものだった。

彼女は力尽き、動けなくなってしまったが、その挑戦的な態度は、

次の戦いの決意を固めさせる。

「次は誰が待っているんだろう？」

私は心の中で思いながら、仲間たちに目を向ける。

リンとレンは、安堵の表情を浮かべていた。