第8話
扉を開けると、そこには魔王が待っていた。
彼女の姿は圧倒的な威圧感を放ち、冷たい笑みを浮かべていた。
背後には無数の魔族が控え、私たちを見下ろしている。
「また勇者ごっこか。だが、ここで終わりだ」
魔王の声は冷たく響き、心の底から恐怖が湧き上がった。
仲間たちも私の後ろで身構えたが、その表情には不安が滲んでいた。
私たちは彼女に向かって進む。
「私たちはここに、お前を討伐するために来た!」
私の声は震えていたが、仲間たちを鼓舞するために強く言った。
魔王は冷たい笑いを浮かべ、私の言葉をあざ笑う。
「愚か者たちが。お前たちの力など、私には通用しない」
その瞬間、魔王の手が一振りされ、周囲の魔族が一斉に私たちに襲いかかってきた。
私たちは必死で戦ったが、魔王の圧倒的な力に翻弄されていく。
「後ろに下がれ!私が守る!」
仲間たちが声を上げ、私を守ろうとしたが、次の瞬間、魔族が突進してきた。
…そして、その攻撃で仲間の一人が地面に倒れた。
「やめろ!!」
私の声は絶望に満ち、仲間たちを守るために必死で戦った。
しかし、魔王は私たちの攻撃を容易にかわし、反撃を開始した。
「無駄だ、全てが無駄だ!」
「お前たちの力は、私が吸収していく!」
仲間たちが次々と倒れ、私の周りには恐怖と絶望だけが残った。
魔王の強大な力に圧倒され、私たちは一時退却を余儀なくされた。
城の外に逃げ出すと、心臓が早鐘のように打っていた。
仲間たちの無事を確認することができず、重い気持ちが私を包んでいた。
心の中には仲間たちの顔が浮かび上がり、彼らを守れなかったことが悔やまれた。
「ほとんどの仲間が……殺された……」
私の声は消え入りそうだった。
実際に逃げ延びたのはレン、リン、テトの3人だけだった。
仲間たちの笑顔が思い出され、その全てが過ぎ去ってしまったことを実感する。
私の無力さに対する怒りと悲しみが胸を締め付けた。
「私たちは、何もできなかったのか……」
魔王の強大な力に対して、私たちの力はあまりにも無力だった。
「魔王は、殺したモンスターの力を使って世界を闇に染めている」
レンの言葉が耳に残る。私たちはただ逃げることしかできなかった。
仲間たちを守ることができず、無力感が心を締め付ける。
「どうすれば……」
リンの横で、私は呆然と立ち尽くしていた。
彼女の目には涙が浮かんでいたが、その中には決意も見えた。
「私たちは、再び立ち上がらなければならない。仲間を失った分、私たちが戦うのだ」
リンは私の目をしっかりと見つめ、決意を語った。
「もう一度、力を集めて、魔王に立ち向かおう」
彼女の言葉に私は鼓舞され、もう一度前を向くことができた。
仲間を失った悲しみを背負いながらも、私たちは再び立ち上がるのだ。
私たちは、王女リンの提案を受け入れ、女王ルカのいる城へ向かうことにした。
彼女のもとには、私たちの力を必要としている者たちが集まっているかもしれない。
王国を救うための手がかりが、そこにあると信じていた。
城への道のりは険しく、次第に気温が下がってきた。
私たちは緊張感を持ちながら、足を進めた。
周囲には不安が漂っていたが、仲間たちの心意気が私を支えてくれる。
「女王のところで、仲間を集めて戦力を増やそう」
私の言葉に、仲間たちは頷き、互いに力を合わせる決意を固めた。
城が見えてくると、その壮麗さに思わず息を呑んだ。
城の周囲には警備が厳重で、警戒を怠ってはいけないと感じた。
私たちは静かに城の門へ近づき、兵士たちに自分たちの目的を伝えた。
「私たちは、女王ルカに会いたい。魔王を討伐するために、力を貸してほしい」
兵士たちは互いに顔を見合わせ、やがて承諾してくれた。
私たちは城の中へ通され、王座の間へと導かれた。
女王ルカは、堂々とした姿で私たちを迎え入れた。
彼女の目には知恵と力強さが宿っていて、私たちはその存在感に圧倒された。
「私のもとへ来た理由を話しなさい」
女王は冷静に言った。
「魔王にもう一度立ち向かうため、仲間を探しています」
私がその旨を伝えると、女王の表情は真剣になった。
「私も、あなたたちに力を貸したい。今この城には、勇者と名乗る者が現れている」
「勇者?」
私は驚き、仲間たちも戸惑った表情を浮かべる。
「彼は私たちの城に居座り、魔王を倒すと宣言している。しかし、実際には彼の力は本物の勇者に比べてはるかに劣る。だから、私たちは彼を打倒しなければならない」
女王の言葉に、私たちは強い決意を感じた。
「私たちが、偽勇者を倒すことができれば、仲間たちを呼び寄せられるのですね?」
私が尋ねると、女王は頷いた。
「そう、あなたたちが勝てば、他の者たちもあなたのもとに集まるはずだ」
私たちは意を決し、偽勇者との対決に臨むことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます