第18話 1年目
「残り10分だよー。ラストスパート!」
街はほぼ壊滅状態だ。塀が残っているところがいる分だけまだマシだ。この生き残ったグループのほとんどの人たちは、魔法に頼らない戦闘をして困った時に魔法を使うようにしているようだ。
魔力切れになったものから順番に前に出され、生贄にされていく。使えなくなったものは肉壁だ。その肉壁役になった人にゴブリンが数体走り寄り、抵抗虚しく殺していく。
その数体を引きつけたところを魔法によって殺すことで効率化しているようだ。うん、悪魔的所業だ。矢がなくなったゴブリンが塀に空いた穴から入ってくるために回り込み出す。
もう矢がなくなったようだ。他の人間がいなくなったところや進展がなさそうなところのゴブリンは引き下げる。残り時間はゴブリンたち側にも聴こえている。場所はもう固定化されているのだから、することは簡単だ。
ゴブリンたちによる魔法の殲滅が始まる。物見台も潰されているため、塀から見えないところにいるゴブリンを目視することができない。そのため距離感がわからないため、魔法を闇雲に打っても当たらないという状況になる。
ゴブリン側からすれば、それはあまり気にしなくていい問題だ。穴を開けるところを決めておけばその対処に回るため、大まかに場所を絞ることができる。いろいろな魔法が飛ばされる。
あまり魔力を込められていないため、威力は小さいが数は多い。だが平均値が高いグループの男が魔力強化を会得する。魔力を剣に乗せることで斬撃を飛ばされるようになり、魔法を全て壊したのだった。
最後の平均値が高いパーティーは魔力強化ができるようになった人を中心に見ることにするか・・・。
残っているグループは優秀な人を基準として耐えることを選択する。飛んでくる魔法は魔法を使うことで対処し、入ってくる方向は2箇所なため入り口のところに体を寄せることで、攻撃をしてくる方向を制限する。そうすることで、邪魔な思考を排除した。
残っている2グループはそう判断し、残り2グループは新たな力を身につけるか工夫をしたことで簡単に耐えている。時間切れだな。
「お疲れ様ー。1時間経ったよ。うん、うん。ぼちぼちって感じかな?今回生き残ったグループは5つだよ。前回と一緒だね。他のグループには頑張ってもらいたいところだよー。まー君達に言っても意味はないんだけどね」
「毎度おなじみのくじ引きタ〜イム。前回同様にアンケートに回答してね。ちなみにポーションは毎回アンケートに答えると渡すからね。集落から逃げた人は戻ってきていいよ。もうゴブリンはいないから」
アンケートの結果として出てきたのは、石材、食料、ポーション、経験値、森の中の情報、グループの統合だ。正直、グループの統合はしてもいいのかもしれない。無能を引き込むことになるが大丈夫だろうか?
「あー、グループ統合って案出てるけど、変えなくていいの?もし出た時は平均的にするために、失敗した5グループと統合ってことになるけど。大丈夫そう?」
グループ統合はありかなしか。のアンケートを送った即返答が返ってきて無しという結論に辿り着く。そうなるよねー。無能な奴の尻を拭く係にはなりたくはないよね。
「今回の結果はこんな感じです。」
アンケート結果を書いているモニターを表示する。おおー。と完成が上がる声が聞こえる中、ブーイングもある。
「ちょっと考え事しているから待ってね・・・。よし決めた!特色をつけるために、今回はグループから出たものだけでルーレットをするよ。そのルーレットをするのはこいつだ!」
煙の中から出てくるのは今回の功労者の工兵ゴブリンだ。スコップを片手に安全第一と書かれた黄色のヘルメットをしている。
「見たい人はいると思うけど、工兵をしていたゴブリンだよー。」
胸にはアルファベットが書かれている札を身につけている。
「いやー、ハラハラしたよ。今回の勝利条件は君たちに優しくしていたのに誰も気が付かないんだから。この工兵ゴブリンを全部殺すことで勝つこともできたのに、それすら行わないんだから・・・」
今回の勝利条件は、ゴブリン側は人間の全滅だけだ。だが人間側は、生き残ることやこの工兵ゴブリン3体を殺すことでもクリアになっていたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます