第6話 1年目

 最終的に元の大きさのスライムと戦ってもらうことになった。復活する時には武器の配布はないが、衣服の配布は行うようにしている(全裸で出すわけにもいかないので・・・というメタ)。スライムが大量発生するイベントが始まった。


 物見台の上から、方向を指差しどこからスライムがきているのかをわかるようにしている。物見台を作ったのは、堀と壁をしっかりと作っていたグループだけだ。数グループだけだ。


 このデスゲーム育成に参加した人数は、全員で340人だ。それを10で割ったため、1グループが34人だ。分けたはよかったが植生が乱れてしまうため、各サーバーごとに入ってもらっている。そのため、監視している場所は10個あった。そのうちの4つをメインで見ているところだ。


 6個は別にどうでもいい感じだ。何事も進まずにただ足踏みをしているものや、足踏みすらやめてしまったものが集まっているところ、スライム狩りに失敗してしまった人が多いグループとそれぞれダメなところが顕著に出ており、今の状態だと今回のイベントをクリアするのが難しいだろうと判断した。


 そして、スライムが召喚された。もちろん、夜中といった変なタイミングで行うわけにもいかないので、日が出ているうちに行う。制限時間は1時間だ。全滅するか、スライムを殺した数といったスコアアタックで競ってもらうか。


 この中には、スライムに転生したものも存在している。スライムに転生して将来的に無双をするのが目的なのだろう。そううまくいけばいいけどな。そのイベントを行うときに、参加の意思確認をし参加すると決めたようだ。


 人間を殺すことの忌避感は神の技によって完全に消されている。躊躇なく同じ校舎で育った人たちを殺すことができるはずだ。残ったスライムはそのままフィールドにいてもらうという仕組みにしておこう。


 まずは、標的となる場所を決めているため、その辺りを攻撃しろと命令を出している。テイムはすることができるため、運が良ければこのボスクラスでも手にいいれることができるだろう。その方法が、ダメだった6グループの勝利の方法だ。


 ビッグスライムには統制のスキルがついている。そのため、こいつに命令をしておけば、その周りにいるスライムをも巻き込んで攻めに行くことになる。そのため、スライムを狩るのサボっていたグループにとっては地獄になるだろう。


「どうなるのかなー」


 4つのモニターの画面を大きくし、見る価値のない6つの画面を小さくする。その4つの特徴は、1つ目がシリアルキラーがいるところ、2つ目はメガネをかけたあのまじめくんがいるところ、3つ目はあの3人組がいるところ。最後の4つ目は、大きな特徴はないが、なぜか成功しているところだ。


 第1陣は通常のスライムから攻め込む。何もしていなかったグループがここで全滅してしまった。期待も何もしないために、捨てる用として何も質問しなかった人を集めたところだ。


「はー、本当に見る価値もないな。」


 正直、復活させたくはないが、ここからの逆転があっても面白いだろう。その可能性を賭けて復活はさせてあげる。一応残機も無限だ。力の無駄遣いってこんなことを指しているんだろうな・・・。


 このスライムを殺すのに魔法を多く使っていた。スライムが出てきてから15分後、第2陣営を召喚する。出したのは魔法耐性を持つスライムと魔法を使うスライムのセットのコンビだ。


 魔法を使うスライムの方は、物理と魔法の防御値が低いため、魔法を使うのはこの魔物の時だろうと想像していたが、違うかった。最初に出したスライムも、数が多いことからHPを少なく設定していたにも関わらず、魔法を使う。


 そんな無理ゲーとかつまらないことをするわけがないのに。なぜこちらの意図を汲み取ってもらえないのだろうか。スライムに魔法を打ち込み、死んでいないことを確認すると、外で戦闘準備をしていた人たちが中に入り、かけていた橋を落とす。


 これでもう中に入ることはできなくなった。時間稼ぎだ。魔法防御の高いスライムがその堀の中に落ちていき、壁をよじのぼろうとしている。そのスライムを木で作った槍で地面に落としながら時間稼ぎを行っているようだ。スライムの位置を見るために顔を大きく覗かせてしまった人が、魔法で撃ち抜かれ死んでいく。


 この時点で10グループのうち、4グループが全滅している。最初のイベントだし、こんなものだろう。そして、開始から30分経った時だ。最終ボスのビッグスライムが召喚された。困惑とざわめく声が辺りを覆い尽くす。


 堀の中に隠れており、安全だと確信していたグループは死んでいく。残りは5グループだ。うん、半分行ったし連絡を入れてもいいかな?


「頑張ってるねー。朗報かな?あと30分耐えることができれば、君たちの勝利だよ。頑張ってね。これ以上こちらからスライムを追加することはないよ」


 全滅したグループのカメラは黒く塗りつぶされ、もう、見る人がいない状態になった。見る価値なし、と判断していたその5つ目のグループがあのビッグスライムのテイムを完了した。


「おお!」


 そして、テイムしたことで周りのスライムの統制をとる。もう、スライムのイベントをクリアしたようだ。よかったー。運で勝利したと言っても、バランスは一応成功しているようだ。安心できる。クリアしたものが1つでもあれば、このデスゲームは成功したと言っていい。


 他の4つのグループは魔力を温存する作戦をしていたグループだ。魔法を使うスライムを魔法で殺し、レベルアップで魔力を回復する。そして、魔法を使うスライムを殺し切った後に前衛がやってき魔法防御特化のスライムを殺した。


 残りがビッグスライムのみという状態に持っていくことができている。

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