第4話 1年目

 1週間が経つ。1回目のスライムを殺すのに、死者が必ず1人は発生した。その悲しみから立ち直っていく。侵入者が入ってこれないように堀を作り、出てきた土で壁を作る。


 そして、スライムを狩る班や木の実、獣肉といった食料を集める班に別れた。そして、始まったのは働かざる者食うべからずの慣習だ。まだ立ち直ることができていない人や外が怖くて動くことができないものに食糧は渡さないという活動が始まった。


 それで起きるのは監視社会だ。嘘をついて利益を得ようとしているものを止めるために動きが始まった。食糧が十分に確保できるようになってから、次に起きるのは衛生面での不満だ。1週間風呂にも何も入っておらず、糞尿なんかはその辺りでしてくるようになっている。


 水魔法持ちがシャワーの代わりをすることができると言い出した。そのため、それが商売として成立した。もちろん交換材料は食糧だ。昔は石が通貨の代わりとなっていたように、今の状態だと食糧が通貨の役割になる。


 水魔法での飲料水を作り出す行為と、このシャワーをすることで外に出なくても働いている判定をもらうことができるようになった。


 ついに森に着くことができるようになり、レベルが上がった近接職の人たちがその木々を堀の中に運び込む。今生存している全ての人の中で一番順調なのは、あの三人セットになることができたパーティーだ。


 パーティーになったことの利点、それは離れていても経験値が配分されるという仕組みだ。3人係でスライム1体を倒すよりも、分かれて行動し、スライムを倒してレベルアップをする方が効率が良いと考えたようだ。


 この、デスゲームの中で1番といって良いほど戦闘力が高いのはこの3人になった。あの真面目くんのところでは、住む住居よりもスライム狩りを優先したようだ。その結果、スライムの危機察知能力が上がり、出会いにくい状況になった。そのため、レベルが上がりにくく戦力ランキングでは下の方になった。


 木材がきたことにより、簡単な家が建てれるようになる。もちろんそんな職業をとっているのは、数人存在している。各村に1人居れば良い方だ。大工の得点は、無限に手に入る釘と金槌だ。釘は金属だが溶かしたり攻撃として使うことができないという効果を持っている。


 そいつが、シャワーを作るように家を作ることを仕事として見つけ、食料を要求するようになる。仕方がないことだろう。もちろん、釘が使うことができないだけで、金槌は攻撃に使うことができる。


 スライム狩りをしていた人は、まだその要求は飲まれていた。だが、いずれ住居が必要になると判断され、ニートでも許されていた人たちだ。何もしないにも関わらず要求を出してきたことに怒った人たちが、その堀の外に投げ捨てる。


 村八分と追放が重なったようなものだ。そして、その村には絶対にアレを中に入れるなという条約が出来上がる。ここで新たな情報が交換された。職業を変更できるようになるということだ。


 そのため、何もしていない農家の人が次の大工となった。釘も何もないため、優先して作るように約束を取り付け1名が追い出されただけで、その日は安全?に終わった。


 ただ、その追い出された人の恨みは高まっていくばかりになる。

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